NHKで放送中の吉沢亮さん主演の大河ドラマ『青天を衝け』。7月18日に第23回が放送されました。www.nhk.or.jp
前回、第22回の感想はこちら。↓
おもな登場人物
- 渋沢栄一(篤太夫):吉沢亮さん…渋沢家中の家(なかんち)の長男。剛情に自分の意思を通す強さがある。よくしゃべる。成長して商売の面白さを知り意欲的に働く一方で、百姓が武家に虐げられる社会の仕組みに疑問を持ち、世の中を変えたいと考えだす。長七郎から聞く江戸の話を聞いているうち、尊王攘夷の考えに目覚め、喜作も江戸に行った時かされたところで自分も江戸に行きたいと父に願い出て、江戸に出る。江戸で出会った志士たちに影響を受け、攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために喜作と旅立ち、以前知り合った一橋家家臣の平岡のおかげで無事京に入り長七郎に文を送って呼び寄せる。が、長七郎が上京途中で殺人事件を起こして捕らわれ、幕府に攘夷の思いを書いた文が幕府に渡ってしまう。栄一と喜作が上京の際に、平岡の家臣として上京したため幕府から一橋に問い合わせが来て、平岡から改めて一橋に仕官するかどうか?の決断を迫られる。長七郎を助ける手立てが見つかるかもしれないと思い、一橋家の仕官することになった。成一郎と関東へ出張し一橋の兵を集めて来る間に恩人の平岡が水戸浪士に殺害される。同じ頃筑波山で挙兵した水戸天狗党が上洛するという知らせを聞き、征討する慶喜に集めた兵と一緒に随行。成一郎が慶喜の密書を武田耕雲斎に届けたことで天狗党は降伏。征討せずに済む。攘夷運動の終わりを見た成一郎が武士として一橋と慶喜を守ると決断したのとは別に、篤太夫は自分の長所を生かして一橋家の勘定を任せてほしいと慶喜に提言し、受け入れられた。一橋家での自分の進む道が見えはじめた時、将軍家茂が逝去。慶喜が徳川宗家を継ぐことになり、篤太夫は成一郎、伝蔵と共に幕臣となり自暴自棄となる。が、パリ万博へ行くことになった慶喜の弟・昭武に随行することになった。パリでヨーロッパの最新技術に触れ篤太夫は嫌いだった異国から多くを学ぼうとする。
渋沢家・中の家
- 渋沢市郎右衛門:小林薫さん…栄一の父。中の家を立て直すために婿養子に入る。勤勉家で一日中働いている。栄一が幕府批判し出したことを何度も叱る。栄一が家を出る時に認めてくれた。
- 渋沢ゑい:和久井映見さん…栄一の母。「みんなが嬉しいのが一番」と栄一に教える。
- 渋沢千代:橋本愛さん…栄一の従妹で惇忠、長七郎の妹。栄一の妻。口数少なく控えめだが芯は強い。
- 吉岡なか:村川絵梨さん…栄一の姉。はっきりとした物言いをする。同じ村の人に嫁ぐ。
- 渋沢てい:藤野涼子さん…栄一の年の離れた妹。お兄ちゃん子。
- 渋沢うた:三井絢月さん…栄一の娘。
渋沢家・新屋敷
- 渋沢よし:成海璃子さん…けんかの仲裁をした喜作に一目惚れし、自ら結婚を申し出る。結婚後は喜作を尻に敷き、栄一と喜作が上京してからは千代を支え夫の留守を守る。
渋沢家:東の家
- 渋沢宗助:平泉成さん…栄一の伯父。東の家の当主。血洗島村の名主として市郎右衛門と共に村をまとめる。
- 渋沢まさ:朝加真由美さん…栄一の伯母。一言多いが根はいい人。
尾高家
- 尾高惇忠(新五郎):田辺誠一さん…栄一の従兄。尾高家の長男。従弟である栄一たちに剣術などを教える。水戸の斉昭の尊王攘夷の考えに傾倒。各地から来る若者らを受け入れて尊王攘夷の考えを広めている。老中安藤を討つ計画に走ろうとしていた弟・長七郎を引き留め、自分の計画に参加するよう説得した。その後、逆に長七郎に自分の計画を命がけで止められる。上京の途中で殺人事件を起こした長七郎を救おうと動いてる。水戸の騒乱に関わりがあると疑われ、岡谷の陣屋に捕らえられる。村の人たちの訴えのおかげで放免された。篤太夫と成一郎が一橋家家臣から幕臣となったことに理解を示し、篤太夫がパリに行くための見立て養子として弟・平九郎を立てたいと申し出てきたことを受け入れた。
- 尾高やへ:手塚理美さん…栄一の伯母。惇忠、長七郎、千代、平九郎を育てた母。篤太夫が平九郎を見立て養子に立てたいと言ってきたことを受け入れ、養子に出してくれた。
- 尾高長七郎:満島真之介さん…栄一の従兄。神道無念流の剣豪として名をはせるようになっていく。剣術修業しに来た真田に誘われ江戸に行き、尊王攘夷を掲げる若者たちと交流する。志士の河野と共に坂下門外の変に加わるつもりだったが、惇忠の説得により断念。上州に逃れたのち京へ逃れていたが故郷に帰ってきて惇忠らが立てた横濱焼き討ち計画を知り、命がけで中止させた。以後、情緒が安定しない様子。上京した栄一からの文で上京する際、気の迷いから人を斬ってしまい、幕府に捕らえられる。
- 尾高平九郎:岡田健史さん…栄一の従弟。
- 尾高きせ:手塚真生さん…惇忠の妻。
- 尾高勇:和田葵さん…惇忠の娘。
一橋家
- 美賀君:川栄李奈さん…慶喜の正室。気性が激しい一面がある。
- 徳信院:美村里江さん…一橋家当主・徳川慶寿の正室となるが死別。徳信院と名乗る。慶寿の後継が亡くなり、養子に来た慶喜にとっては養祖母となる。
- 中根長十郎:長谷川公彦さん…慶喜の側用人。
- 平岡円四郎:堤真一さん…慶喜の側近だったが、池田屋事件をきっかけに尊攘派弾圧をする慶喜をたぶらかす存在と恨まれ、水戸浪士に命を奪われる。
- 平岡やす:木村佳乃さん…円四郎の妻。
- よね:高野渚さん…平岡家で働く女性。
- 猪飼勝三郎:遠山俊也さん…代々続く一橋家家臣。
- 黒川嘉兵衛:みのすけさん…慶喜の側近。平岡と一緒に慶喜が公家たちに動く。
水戸藩
- 吉子(登美宮):原日出子さん…水戸藩の元藩主・斉昭の妻で慶喜の母。公家出身。
- 徳川慶篤:中島歩さん…斉昭の跡を継いだ水戸藩藩主。慶喜の兄。
江戸幕府
- 徳川慶喜:草彅剛さん…水戸藩藩主・徳川斉昭の七男で徳川幕府最後の将軍となる。父・斉昭の期待を一身に受け、厳しい教育を施される。一橋家当主の後継が亡くなったことで、老中阿部正弘の推薦で一橋家に養子に入る。刑部卿となった自分を政界に復帰した父・斉昭が頼ってくるが将軍になる望みはないと言い切るが、いざ家茂が将軍となると寂しさを感じる。井伊直弼から隠居を言い渡され邸内の一室に籠る。謹慎中に父斉昭が亡くなり、親不孝をしたと泣いた。井伊大老が亡くなったことで政界復帰。将軍後見職に就き京に入ったが、攘夷ばかり口にする公家や天皇をどう説得すればよい分からない。自分を政界復帰に推してくれた島津久光とは合わない。栄一と出会ったことで徳川を守ると覚悟を決め、薩摩の政治介入を阻止しようと、中川宮の前で久光、春嶽、伊達を「天下の大愚物」と言って朝議参与を解散させてしまう。その後禁裏御守衛総督となる。家茂逝去で徳川宗家を継ぎ、家茂に代わり長州征伐をしたが敗戦の色が濃くなると退却。孝明天皇の強い願いに応え、征夷大将軍となる。パリ万博に派遣する弟の昭武の一行に篤太夫(栄一)を加えた。
- 徳川昭武(民部公子):板垣李光人さん…斉昭の十一男。慶喜の異母弟。清水家の養子となり徳川昭武となる。将軍となった慶喜の代わりにパリ万博へ行き、随行する栄一と特別な絆を結ぶことになる。明治になると慶篤の急逝で水戸藩主になる。
- 天璋院:上白石萌音さん…第13代将軍・家定の正室。薩摩藩主島津斉彬の養女として慶喜を将軍後継にする密命を持っていた。家定の急逝で天璋院と名乗る。
- 歌橋:峯村リエさん…家定の乳母。家定から信頼が厚く、慶喜を後継にするのを反対し、紀州藩の慶福を推す。
- 和宮(静寛院宮):深川麻衣さん…公武合体の政策で14代将軍家茂に嫁いだ。
- 川路聖謨:平田満さん…勘定奉行。師と慕う人の息子・平岡円四郎を慶喜の側近に推薦する。将軍継嗣問題で敗れ、西丸留守居役を命じられる。その後また外国奉行に復帰。
- 永井尚志:中村靖日さん…ペリー来航後海防掛となる。海防参与となった徳川斉昭の過激さに振り回される。将軍継嗣問題で処分される。その後大目付となり慶喜を支える立場となる。
- 土方歳三:町田啓太さん…新撰組副長。栄一とはある任務で一緒になり、同じ百姓出身と言うこともあり意気投合。鳥羽伏見の戦いで敗れた後、各地へ転戦したのち、榎本武揚や喜作と共に箱館に渡り五稜郭を占領。新政府軍と戦って壮絶な戦死をする。
- 渋沢喜作(成一郎):高良健吾さん…栄一の2歳年上の従兄で幼馴染。渋沢一族「新屋敷」の長男。千代との結婚を望んでいたが、千代と栄一が思い合ってると知り身を引き、自分はよしと結婚。江戸に出て尊王攘夷の考えに触れ攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために栄一と京へ旅立つ。栄一共に一橋家に仕官する。上洛しようとする水戸天狗党に慶喜の密書を届けに越前に行った時に、天狗党の軍が疲弊しているのを目の当たりして攘夷運動の成れの果てを見たとショックを受け、これからは一橋と慶喜を守るために生きると決断する。
- 伝蔵(須永虎之助):萩原護さん…中の家の作男で、栄一らと共に勉学や武芸を学ぶ仲。のちに一橋家の家臣となった栄一と喜作に呼ばれ、一橋家家臣となる。慶喜が徳川宗家を継ぐのに伴って幕臣となる。
- 原市之進:尾上寛之さん…慶喜の側近。
- 川村恵十郎:波岡一喜さん…一橋家の家臣。
- 栗本鋤雲:池内万作さん…奥医師から蝦夷地へ左選され、箱館奉行組頭となり功績が認められ目付となり、さらに外国奉行になる。
- 阿部正外:眼鏡太郎さん…老中。
- 小栗忠順:武田真治さん…勘定奉行。幕府の戦力増強を図る。フランスとコンパニー設立を目指す。
- 柴田剛中:江端英久さん…旗本。外国奉行。
- 板倉勝静:永井秀樹さん…老中首座。
- 松平乗謨:西海健二郎さん…老中。
- 福地源一郎:犬飼貴丈さん…外国奉行支配。
- 田辺太一:山中聡さん…外国奉行支配組頭。外交官。フランスに行った経験があることから昭武のパリ派遣に随行。幕府とは別に薩摩が独立して万博に出品しようしたことに猛抗議する。
- 福沢諭吉:中村萬太郎さん…
- 向山一履:岡森諦さん…幕臣。漢詩人。外国奉行。
- 杉浦愛蔵(譲):志尊淳さん…外国奉行支配調役。徳川昭武のパリ派遣随行員の一人。栄一と親交を深めて維新後は静岡に行き、のちに栄一が明治政府で栄一が立ち上げた民部省改正掛の一員となる。
- 山髙信雄:山本浩司さん…徳川昭武の傅役でパリへ随行。その後のヨーロッパ諸国の訪問にも同行。
- 高松凌雲:細田善彦さん…一橋家軍制所の医師だったが、慶喜が将軍となったことで奥医師に。徳川昭武のパリ派遣に随行し、留学生となってフランスで医学を学び帰国。箱館の戦いでは敵味方関係なく治療に当たった。
- 山内文次郎:渋谷謙人さん…通訳。パリの昭武一行の随行員。武士の為篤太夫が値切り交渉を拒む。
- 山内六三郎:松永拓野さん…通訳。文次郎が拒む値切り交渉を代わりにやってくれた。
- 菊池平八郎:町田悠宇さん…水戸藩士。昭武の護衛。
- 井坂泉太郎:林雄大さん…水戸藩士。昭武の護衛。
- 保科俊太郎:後藤田しゅんすけさん…通訳。
- 加治権三郎:尾関伸次さん
- 三輪端蔵:川端康太さん
- 服部潤次郎:石川啓介さん
朝廷
- 孝明天皇:尾上右近さん…幕府より攘夷を訴える水戸を頼りにする。家茂に和宮を嫁がせる事で幕府に攘夷を要求する。家茂の逝去後、慶喜に将軍に就かせる。
- 中川宮:奥田洋平さん…
- 岩倉具視:山内圭哉さん…公武合体のメリットを孝明天皇に説く。政争に負け浪人生活。
- トメ:梅沢昌代さん…岩倉の家で働く女性。
- 三条実美:金井勇太さん…攘夷志士たちに押され、幕府に攘夷せよと言う。
- 二条斉敬:森敬一朗さん
- 正親町三条実愛:置鮎龍太郎さん…薩摩寄りの公家。
- 明治天皇(睦仁親王):犬飼直紀さん…
- 中山忠能:堀内正美さん…明治天皇の外祖父。
長州藩
- 井上聞多(馨):福士誠治さん…尊王攘夷派の長州藩士だったが、伊藤俊輔らとロンドンに渡り開国派に。維新後は大蔵省に入り、栄一はその右腕となる。
- 伊藤俊輔(博文):山崎育三郎さん…長州藩士。
薩摩藩
- 島津久光:池田成志さん…薩摩藩の国父。公武合体を成すため軍を率いて上洛。雄藩による政治参画を実現するため「参与会議」を発足。慶喜とは横濱鎖港の件で対立する。政治の裏工作をことごとく一橋に潰され、次第に徳川打倒へと考えを変えていく。
- 西郷吉之助(隆盛):博多華丸さん…薩摩藩士。公武合体実現のため、流罪を赦免されて藩政復帰。一橋
- 家の命で大坂に来ていた栄一と出会う。策を巡らせ倒幕へと突き進む。
- 大久保一蔵(利通):石丸幹二さん…久光の側近として公武合体のために上京。腹の内が読めない慶喜を警戒。明治の新政府では大蔵卿となり、部下となる栄一と意見が対立する。
- 五代才助(友厚):ディーン・フジオカさん…薩摩藩士。長崎遊学の経験から世界情勢に精通。貿易による富国強兵を唱えてイギリスに留学中、フランス万博の情報をいち早く得て薩摩藩として参加を実現。幕府の威信を落とす。この時幕府側として参加していた栄一とは、のちに「西の五代、東の渋沢」と呼ばれる実業家となる。
- 川村純義:日向丈さん…
- 新納刑部:藤井宏之さん…薩摩藩士。
- 岩下佐次右衛門:俵木藤汰さん…薩摩藩士。
諸藩
- 松平春嶽:要潤さん…前福井藩主。慶喜の優秀さを見抜き、将軍後継に推すために奔走したが敗れ、井伊に隠居、謹慎を命じられたのち、政界復帰。
- 伊達宗城:菅原大吉さん…第8代宇和島藩主。将軍継嗣問題で慶喜を推して隠居謹慎に処されたが、久光の公武合体運動で政界復帰。朝議参与に任命される。久光や春嶽と共に開国を唱え、慶喜と対立。
- 山内容堂:水上竜士さん…第15代土佐藩主。将軍継嗣問題で慶喜を推して隠居謹慎に処されたが、のちに朝議参与に任命される。慶喜に大政奉還を建白する。
- 松平容保:小日向星一さん…会津藩主。幕府から命じられて攘夷派が多くいる京の治安維持のため、病をおして上京。京都守護職に就く。市中警護のため浪士隊「新選組」は容保のもとで活躍。
- 松平定敬:小日向春平さん…桑名藩主。同い年だった家茂からの信頼され、家元と共に上洛。京都所司代となり、兄・容保共に京の警護にあたる。
- 徳川慶勝:稲荷卓央さん…元尾張藩主。
海外
- アーネスト・サトウ:カイル・カードさん…イギリスの通訳。
- ハリー・パークス:イアン・ムーアさん…イギリス公使。
- レオン・ロッシュ:ディディエ・ケアロックさん…フランスの外交官。
- アレクサンダー・シーボルト:アレキサンダー・サガラさん…フォン・シーボルトの息子。イギリス側の人間で、昭武の一行に通訳として怪しまれずに入り込む。薩摩と通じている様子。
- カション神父:ド・ランクザン望さん…フランス政府からの正式な通訳。シーボルトが昭武一行に加わってるのを見て警戒する。
- モンブラン伯爵:ジェフリー・ロウさん…薩摩が幕府とは別に博覧会で展示物を出すことに協力。
- フリュリ・エラール:グレッグ・デールさん…フランスの日本総領事。
- ナポレオン三世:ジュリアン・ジョランさん…
- ウジェニー皇后:マリーモリエットさん…
- 式部官:ラファエル・マグナボスコさん
- ポルスブルック:ダニエル・マナシエフスキーさん
- ヴィレット:サンシモンさん…
- レオポルド二世:アルノ・ルギャルさん…
第23回のあらすじ
昭武の欧州訪問を前に、フランスからの600万ドルの借款が消滅したと知らされ動揺する随行員たち。
薩摩とモンブランのせいでフランスでの幕府の信用が落ちたと憤る外国奉行の向山(岡森諦さん)。
田辺(山中聡さん)が昭武名義の為替を発行し、買い取らせた先から日本の幕府に対し、為替の金額を取りたてさせるというやり方で昭武のヨーロッパ諸国訪問の資金を捻出しようと考えつく。
昭武は日本の将軍の弟。フランスがダメでもオランダの貿易商社やイギリスの銀行にお願いすれば応じるところがあるだろうと予想。篤太夫が交渉役を担った。
資金を調達した昭武一行は条約を結んだ諸国を訪問。
スイス・ベルンを訪問中、日本から外国奉行・栗本鋤雲(池内万作さん)が到着。
昭武への挨拶を済ませた後、向山と田辺に向かって幕府の信用を取り戻すために来たと説明した栗本。慶喜から日本は幕府のものであるという弁明を持参。借款もやり直したいと考えていた。
杉浦(志尊淳さん)には帰国命令。篤太夫には小栗から預かってきたという為替が手渡され、諸国からの信用を失わないためにも為替を使って簡素な旅を続けるよう指示した。
帰国する杉浦に、身内の人への文を託す篤太夫。一番気になっていたのは見立て養子にした平九郎のこと。杉浦は平九郎のことを引き受けてくれた。
杉浦も、今後の昭武一行の旅の書記と会計を全て篤太夫に任せ、二人はいつか日本で会おうと約束して別れた。
杉浦が帰国する同じ日の朝。
京にいた慶喜の側近の原市之進が突然襲われ、命を落とした。平岡の時と同じ、またも身内の者たちの犯行だった。
市之進の死を知らされた慶喜は一人になり「なぜ私の大事なものを次々と奪う…。」とつぶやき悲しみに暮れた。
成一郎はそんな慶喜の様子をそっと見守っていた。
血洗島では、中の家と尾高家の皆が集まり、平九郎が正式に渋沢平九郎となり江戸に出発する挨拶をしていた。
平九郎は伝蔵の家で世話になることになり、しばらくは母のやへもついて行って一緒に暮らすことになった。
平九郎への思いを秘めていた栄一の妹のていは、お守り袋を平九郎に渡す。平九郎は栄一が戻って養子がいらなくなれば夫婦になろうとプロポーズしていった。
京にいた岩倉具視(山内圭哉さん)は、王政復古のためには徳川との戦わねばならぬと、薩摩の大久保一蔵(石丸幹二さん)に錦の御旗を準備するよう提案。大久保からは倒幕の宣旨を早く出して欲しいとお願いした。
伏見の薩摩藩邸では、西郷吉之助(博多華丸さん)が天璋院様御守衛という名目で浪人を集め、戦いに備えていた。
市之進を亡くし相談相手を失った慶喜は、国内の戦への動きを察しながらも、フランスからの借款が得られず陸海軍が未だ整わない今、朝廷に政を返すかを考えていた。
そうすれば薩摩の戦の矛先をかわすことが出来、さらに500年政治から離れている朝廷に力がないのは明らかで、まだ徳川の入る隙はあると一人考えていた。
そして慶応3年(1867年)10月12日。
慶喜は二条城で「政権を帝に返上する。」と宣言。
外国との交際が盛んになっている今、天皇を日本を一つにまとめなければ国家を治め守ることが出来ない。と理由を語る。
「政権を朝廷にお返しし、広く天下公平な議論を尽くして天子様の決断を仰ぎ、同心協力してこの国を守りたい。さすれば日本は必ずや海外万国と並び立つことができよう。」とこれから先の日本と海外の付き合いまで及ぶ考えを語った。
江戸城では小栗ら幕臣が幕府の滅亡を早めると怒り嘆き、政を取り戻すため江戸から京へ軍を送って薩摩ら天皇の周囲を囲む者たちを滅ぼすと意気込んでいた。
大奥では「慶喜が徳川を殺した。」と命を断とうとする者まで現れ大混乱していた。
そんな状況を憂いた松平春嶽は、慶喜に政権返上の狙いを聞いた。
が、慶喜は薩摩の動きを察して戦をして京が燃えぬために動いたと言い「私はこの先天子様の皇国の力を取り戻したい。天子様のもと諸侯が心を合わせ、御神君が治めた天下の大業を長く受け継ぐ手伝いをしたい。」と語った。
春嶽は慶喜の謀だと思っていたことを恥じ、慶喜も全てが敵を思っていたことを明かし「今こそ心を大きく開き、越前殿や多くの方々の力を借りたい。心より願っておりまする。」と話した。
「この先共に新しき日本を作っていきましょう。」という慶喜に、春嶽は「それだ!そのお言葉が聞きたかった。」と感激するのだった。
根回しして倒幕の密勅を出させた岩倉は、先手を打ってきた慶喜の力に驚いていた。朝廷は先のことが決まるまでは将軍職はそのままと言っていたのだ。
そこへ、大政奉還の対処に困った朝廷から、岩倉に政に戻るようにと命がきた。5年振りに洛中に戻れると喜ぶ岩倉だった。
諸国の訪問を終えパリに戻っていた昭武たちは、慶喜に命じられた通り留学生活に入っていた。
昭武の師となる陸軍中佐・ヴィレット(サンシモンさん)は、帝王学を昭武に学んでもらう前に、皆に髷を落とし刀を外し洋服を着るよう指示。
水戸藩士たちは抵抗をしたが、栗本に「郷に入れば郷に従え。」と一蹴され、涙ながらに髷を落としていたが、篤太夫は喜んで髷を落とし洋服に着替えた。
特に昭武は洋装が良く似合うと評判になった。
洋装に慣れて、少しのフランス語が出来るようになってきていた篤太夫は、銀行のオーナーのエラールと身分の高い軍人が対等に話しているのを見て疑問に感じる。
エラールはフランスでは役人も武士も商人も同じだと話す。
篤太夫はベルギーに行った時に、国王が自国の産物を昭武に売り込む姿を目撃しており、ヨーロッパの国々の風通しの良さに感銘を受けた。
日本では上の者の理不尽な言動を無理に押し付けられることがあるが、ヨーロッパには無い。
「皆が同じ立場に立ち、皆がそれぞれの国のために励んでおる。そうだい!本来これこそがまことのはずだい。俺やあにぇはずっと言ってた。身分など関わりなく、誰もがその力を生かせる場で励むべきだと!」と言い、この理を日本に移さねばと意気込む。
そんな篤太夫を見て、エラールは「日本はこれからきっと素晴らしい国になる。」と言ってくれた。
篤太夫のようにヨーロッパの暮らしに慣れる人たちに対して、水戸藩士の井坂たち3人は馴染めず。外国方の田辺、向山らと一緒に帰国していった。
慶応3年(1868年)12月9日。
薩摩によって御所の警備が強化され、中川宮ら公家が締め出された。
岩倉具視は天皇となった睦仁親王(犬飼直紀さん)に謁見。この先は万事任せてくださいと言うのだった。
こうして突如、王政復古が宣言された。
夜。
慶喜が不在のなか、小御所会議が開かれ、公家や藩主が出席。
天皇は、慶喜からの政権返上を受け、王政の礎を定め国の方針を立てよと指示。
前土佐藩主・山内容堂が「200年この方天下を無事に治めてきたがは、徳川の功績ではないかえ。慶喜公は祖先から受け継いできた将軍職をもなげうって大政を奉還された。慶喜公が優れた人物いうことはもう天下に知られておる。会議をするならここに呼ばんでどうするがぜよ!」と強く抗議。
続いて松平春嶽が、征夷大将軍、摂政、関白の職を廃し、総裁、議定、参与の三職を置くことには賛成。しかし、その主となるべき慶喜がいないことと、徳川家の領地を返上せよというのも的外れだと真っ向から反対。
それに、元尾張藩主の徳川慶勝(稲荷卓央さん)が、この場にいる者だけで政が回せるのか?と続いた。
慶喜は公平無私のきっかけを作った功績が大きいと慶喜不在に真っ向から反対してきた。
人望がないと聞いていた慶喜擁護の声に戸惑う岩倉。
西郷吉之助は慶喜に頭では勝てないと断言。「戦がしたくなかち言うなら、したくなるようにすっだけじゃ。」と言うのだった。
大坂城にいた慶喜に、江戸城二の丸が放火されたと報告が来た。薩摩が奥にいる天璋院を奪うため火を放ったとの話だった。
罠だと見抜いた慶喜は動いてはならぬと言ったが、三田の庄内屯所が銃撃を受け薩摩を討つべしという老中の命を受け、庄内を先鋒に薩摩藩邸を砲撃。戦となってしまった。
何としても戦を止めたかった慶喜だったが、大坂城にいた大勢の幕臣たちからも「薩摩を討つべし」との声が上がり、慶喜の手に負えなくなっていた。
老中からパリにいた昭武宛てに電信が届いた。
大名が集まり話し合いで新しい政権の形を決めることになった。日本の形勢はよく、慶喜も信頼され、政が安定するだろう。とのことだった。
何が何だかわからず戸惑う一行だったーーーー。
…というお話でした。
栗本鋤雲到着
幕府の信用を取り戻すために日本からヨーロッパまでやってきた外国奉行・栗本鋤雲さん。
小栗から預かった為替を手渡してくれて、会計を全部篤太夫に任せてくれていました。
慶喜が将軍になる前は、慶喜を敵視しててなんだか怖い人だなと思ってました。
けど、篤太夫に威圧的に話さないし、フランスの先生に髷を落とせと言われればちゃんと落として、洋装になってたし、かなり柔軟な人なんだなと思い直しました。
最初の印象から随分雰囲気が変わった栗本鋤雲さん。
篤太夫のことも信頼してくれてるみたいだし、明治以降の付き合いがあるのかな?
どんな人なのか、もっと知りたくなりました。
約束を守ってくれた小栗
日本を出発する前にお金が尽きることを心配した篤太夫。
小栗に大丈夫か?と質問して、小栗が勘定奉行でいるうちは間違いなくお金を送るって答えてました。
今回、滞在費を栗本を通じてちゃんと送ってくれて感動しました。
先に帰国した田辺さんも、モンブランと薩摩に貶められはしましたが、当面の滞在費を調達の案を出してくれたり、昭武の一行は色んな人に支えられてのものだったんだなと今回の話を見て思いました。
市之進まで奪われた
平岡亡きあと、慶喜の側近として頑張ってくれていた原市之進。同じ幕臣の人に殺されていました。
またもや身内の犯行で慶喜は大事な人を奪われました。
「なぜ私の大事なものを次々と奪う…。」と一人悲しみに暮れる慶喜の姿は哀れでした。
何の恨みがあって慶喜のそばにいる人を殺してしまうんでしょうか?
その後の大政奉還という大きな出来事を一人で決断しなければいけなかった慶喜の気持ちを思うと、見てるこっちまで泣けてきました。
一人暗い部屋でボソボソとつぶやきながら思案する慶喜。
『西郷どん』だとただただ薩摩の思惑をかわしたいだけで大政奉還を決断したように描かれていましたけど、ただの意地だけで200年以上続いた幕府を閉じるわけがないですよね。
モノスゴイ強い意思がないとこんな大きなこと決断できないはず。
それを一人で決めたというのが切ないです。
平岡と市之進と、3人で話し合ったり意見をぶつけたりしたかったんだろうな。
篤太夫も色々言ってきたかもしれない。
でも実際は一人。
力なく一人で考えていた慶喜の姿は泣けました。
それを、大奥では「慶喜が徳川を殺した。」とか、幕臣は軍を上京させて戦うとか、もう好きなこと言ってて、全く気持ちが伝わってない。
慶喜と多くの幕府の人の気持ちがズレてるのが悲しかったです。
幕末の戦いとか、幕府の抵抗とか、慶喜さえしっかりしてればなかったんじゃないか?と思ってましたけど、行動を起こしているのはみんな身分の低い人たち。
自分達の居場所がいなくなるから、必死に戦おうとしてる。
幕末の流れを作ったのは慶喜じゃなく、こういった一般市民。
戦になってしまったのは、こういう一般市民が新しい世に不安を感じて、なんとか今の地位を守りたいと必死になって動いた結果なんじゃないかと思えてきました。
一般市民はみんな巻き込まれたように思ってますけど、みんな自分が勝てると思って自分から戦おうと動いていたんでは??
その大きな流れを止めることが出来ない。
最後、大坂城で「薩摩を討つべし」と叫んでる幕臣たちを見て呆然となっている慶喜。
もう誰にも止められない。
自分たちが自分たちを守るために自分たちの意思で行動した。
仕方がなかったんじゃないか?と『青天を衝け』で幕末の戦への流れの見る目が変わりました。
西郷が悪役
いつもなら、明治維新の立役者としていい人に描かれている西郷隆盛。
2018年の大河ドラマ『西郷どん』見てました。
でも『青天を衝け』の吉之助さんは悪い感じですねーー。
「戦がしたくなかち言うなら、したくなるようにすっだけじゃ。」と言って幕府を挑発して戦に持って行ってました。
『西郷どん』でも、そこんとこは強引にやったのをしっかり描かれていたのを覚えてます。
『西郷どん』の時もめちゃくちゃやな~と思いましたけど、せっかく戦にせんように動いてた慶喜の作戦も全部水の泡。
今回も最悪やな~と思いました。
新しい世にしたいなんて二の次で、とりあえず徳川を倒したいだけですからね。戦をしかけるのは。
戦になって、もともと暴発しかけてた一般市民の心に火をつけて、とんでもない大きな戦いになっていくーーー。
西郷さんも自分から仕掛けたものの、こんな関東から北海道に移動してまでの大きな戦いになるって想像できてなかったでしょう。きっと。
政権移行に慶喜が参加できてれば…
小御所会議。
慶喜は蚊帳の外にやられて何もできなかったから、松平春嶽さんたちにもっと頑張って欲しかったな。
会議に慶喜を参加させていたら、本当に外様も幕府もみんなで政府を作れてたかもしれない。
五代が言う通り「頭はあっても、金がなければ政は動きもはん。」ですね。
お金がある薩摩の集めた軍事力にはかなわなかったのかな?
改めて見て、薩摩はスゴイ。
お金も軍事力もあるから、うるさく言う人を黙らせることが出来る。
フランスからお金が借りれなくなって財力も残ってない幕府に勝ちめなし。
もっと早くから幕府内も団結できてればなぁ…。
慶喜ももうちょっと早く春嶽さんに心開いて、みんなで共に新しい世を作ろうとなっていれば…。
残念でならない。
家茂が外様に酒振舞うのを気にしてなければ…。
本当に残念。
ーーー
あぁ、これから幕末の戦いに入っていくのかと思うと辛いです。
せっかく見立て養子になってくれた平九郎も、これから幕府軍として壮絶な戦いに入っていくし。
栄一がパリに行ってる間、しんどい時間が続きます。
オリンピックをはさんで、次回放送は8月15日。
だいぶ開きます。
放送休止は昨年の『麒麟がくる』でも経験済みですが、しばらく放送がないのは寂しいな!!
『麒麟がくる』の時みたいに特別番組やって欲しいけど、オリンピックだからそれもないだろうし。
ただただ待つのみです。
早く次の放送が見たい!!!
以上、『青天を衝け』第23回の感想でした。
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