NHKで放送中の吉沢亮さん主演の大河ドラマ『青天を衝け』。8月15日に第24回が放送されました。www.nhk.or.jp
前回、第23回の感想はこちら。↓
おもな登場人物
- 渋沢栄一(篤太夫):吉沢亮さん…渋沢家中の家(なかんち)の長男。剛情に自分の意思を通す強さがある。よくしゃべる。成長して商売の面白さを知り意欲的に働く一方で、百姓が武家に虐げられる社会の仕組みに疑問を持ち、世の中を変えたいと考えだす。長七郎から聞く江戸の話を聞いているうち、尊王攘夷の考えに目覚め、喜作も江戸に行った時かされたところで自分も江戸に行きたいと父に願い出て、江戸に出る。江戸で出会った志士たちに影響を受け、攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために喜作と旅立ち、以前知り合った一橋家家臣の平岡のおかげで無事京に入り長七郎に文を送って呼び寄せる。が、長七郎が上京途中で殺人事件を起こして捕らわれ、幕府に攘夷の思いを書いた文が幕府に渡ってしまう。栄一と喜作が上京の際に、平岡の家臣として上京したため幕府から一橋に問い合わせが来て、平岡から改めて一橋に仕官するかどうか?の決断を迫られる。長七郎を助ける手立てが見つかるかもしれないと思い、一橋家の仕官することになった。成一郎と関東へ出張し一橋の兵を集めて来る間に恩人の平岡が水戸浪士に殺害される。同じ頃筑波山で挙兵した水戸天狗党が上洛するという知らせを聞き、征討する慶喜に集めた兵と一緒に随行。成一郎が慶喜の密書を武田耕雲斎に届けたことで天狗党は降伏。征討せずに済む。攘夷運動の終わりを見た成一郎が武士として一橋と慶喜を守ると決断したのとは別に、篤太夫は自分の長所を生かして一橋家の勘定を任せてほしいと慶喜に提言し、受け入れられた。一橋家での自分の進む道が見えはじめた時、将軍家茂が逝去。慶喜が徳川宗家を継ぐことになり、篤太夫は成一郎、伝蔵と共に幕臣となり自暴自棄となる。が、パリ万博へ行くことになった慶喜の弟・昭武に随行することになった。パリでヨーロッパの最新技術に触れ篤太夫は嫌いだった異国から多くを学ぼうとする。大政奉還も2か月遅れて知らせが来て、日本の状況が分からないまま昭武に留学を続けてもらえるかどうか不安を感じながら過ごす。
渋沢家・中の家
- 渋沢市郎右衛門:小林薫さん…栄一の父。中の家を立て直すために婿養子に入る。勤勉家で一日中働いている。栄一が幕府批判し出したことを何度も叱る。栄一が家を出る時に認めてくれた。
- 渋沢ゑい:和久井映見さん…栄一の母。「みんなが嬉しいのが一番」と栄一に教える。
- 渋沢千代:橋本愛さん…栄一の従妹で惇忠、長七郎の妹。栄一の妻。口数少なく控えめだが芯は強い。
- 吉岡なか:村川絵梨さん…栄一の姉。はっきりとした物言いをする。同じ村の人に嫁ぐ。
- 渋沢てい:藤野涼子さん…栄一の年の離れた妹。お兄ちゃん子。
- 渋沢うた:三井絢月さん…栄一の娘。
- 渋沢(尾高)平九郎:岡田健史さん…栄一の従弟。惇忠の弟。栄一のパリ行きに伴い、栄一の見立て養子として江戸に向かう。
渋沢家・新屋敷
- 渋沢よし:成海璃子さん…けんかの仲裁をした喜作に一目惚れし、自ら結婚を申し出る。結婚後は喜作を尻に敷き、栄一と喜作が上京してからは千代を支え夫の留守を守る。
渋沢家:東の家
- 渋沢宗助:平泉成さん…栄一の伯父。東の家の当主。血洗島村の名主として市郎右衛門と共に村をまとめる。
- 渋沢まさ:朝加真由美さん…栄一の伯母。一言多いが根はいい人。
尾高家
- 尾高惇忠(新五郎):田辺誠一さん…栄一の従兄。尾高家の長男。従弟である栄一たちに剣術などを教える。水戸の斉昭の尊王攘夷の考えに傾倒。各地から来る若者らを受け入れて尊王攘夷の考えを広めている。老中安藤を討つ計画に走ろうとしていた弟・長七郎を引き留め、自分の計画に参加するよう説得した。その後、逆に長七郎に自分の計画を命がけで止められる。上京の途中で殺人事件を起こした長七郎を救おうと動いてる。水戸の騒乱に関わりがあると疑われ、岡谷の陣屋に捕らえられる。村の人たちの訴えのおかげで放免された。篤太夫と成一郎が一橋家家臣から幕臣となったことに理解を示し、篤太夫がパリに行くための見立て養子として弟・平九郎を立てたいと申し出てきたことを受け入れた。
- 尾高やへ:手塚理美さん…栄一の伯母。惇忠、長七郎、千代、平九郎を育てた母。篤太夫が平九郎を見立て養子に立てたいと言ってきたことを受け入れ、養子に出してくれた。
- 尾高長七郎:満島真之介さん…栄一の従兄。神道無念流の剣豪として名をはせるようになっていく。剣術修業しに来た真田に誘われ江戸に行き、尊王攘夷を掲げる若者たちと交流する。志士の河野と共に坂下門外の変に加わるつもりだったが、惇忠の説得により断念。上州に逃れたのち京へ逃れていたが故郷に帰ってきて惇忠らが立てた横濱焼き討ち計画を知り、命がけで中止させた。以後、情緒が安定しない様子。上京した栄一からの文で上京する際、気の迷いから人を斬ってしまい、幕府に捕らえられる。
- 尾高きせ:手塚真生さん…惇忠の妻。
- 尾高勇:和田葵さん…惇忠の娘。
一橋家
- 美賀君:川栄李奈さん…慶喜の正室。気性が激しい一面がある。
- 徳信院:美村里江さん…一橋家当主・徳川慶寿の正室となるが死別。徳信院と名乗る。慶寿の後継が亡くなり、養子に来た慶喜にとっては養祖母となる。
- 中根長十郎:長谷川公彦さん…慶喜の側用人。
- 平岡円四郎:堤真一さん…慶喜の側近だったが、池田屋事件をきっかけに尊攘派弾圧をする慶喜をたぶらかす存在と恨まれ、水戸浪士に命を奪われる。
- 平岡やす:木村佳乃さん…円四郎の妻。
- よね:高野渚さん…平岡家で働く女性。
- 猪飼勝三郎:遠山俊也さん…代々続く一橋家家臣。
- 黒川嘉兵衛:みのすけさん…慶喜の側近。平岡と一緒に慶喜が公家たちに動く。
水戸藩
- 吉子(登美宮):原日出子さん…水戸藩の元藩主・斉昭の妻で慶喜の母。公家出身。
- 徳川慶篤:中島歩さん…斉昭の跡を継いだ水戸藩藩主。慶喜の兄。
江戸幕府
- 徳川慶喜:草彅剛さん…水戸藩藩主・徳川斉昭の七男で徳川幕府最後の将軍となる。父・斉昭の期待を一身に受け、厳しい教育を施される。一橋家当主の後継が亡くなったことで、老中阿部正弘の推薦で一橋家に養子に入る。刑部卿となった自分を政界に復帰した父・斉昭が頼ってくるが将軍になる望みはないと言い切るが、いざ家茂が将軍となると寂しさを感じる。井伊直弼から隠居を言い渡され邸内の一室に籠る。謹慎中に父斉昭が亡くなり、親不孝をしたと泣いた。井伊大老が亡くなったことで政界復帰。将軍後見職に就き京に入ったが、攘夷ばかり口にする公家や天皇をどう説得すればよい分からない。自分を政界復帰に推してくれた島津久光とは合わない。栄一と出会ったことで徳川を守ると覚悟を決め、薩摩の政治介入を阻止しようと、中川宮の前で久光、春嶽、伊達を「天下の大愚物」と言って朝議参与を解散させてしまう。その後禁裏御守衛総督となる。家茂逝去で徳川宗家を継ぎ、家茂に代わり長州征伐をしたが敗戦の色が濃くなると退却。孝明天皇の強い願いに応え、征夷大将軍となる。パリ万博に派遣する弟の昭武の一行に篤太夫(栄一)を加えた。
- 徳川昭武(民部公子):板垣李光人さん…斉昭の十一男。慶喜の異母弟。清水家の養子となり徳川昭武となる。将軍となった慶喜の代わりにパリ万博へ行き、随行する栄一と特別な絆を結ぶことになる。明治になると慶篤の急逝で水戸藩主になる。
- 天璋院:上白石萌音さん…第13代将軍・家定の正室。薩摩藩主島津斉彬の養女として慶喜を将軍後継にする密命を持っていた。家定の急逝で天璋院と名乗る。
- 歌橋:峯村リエさん…家定の乳母。家定から信頼が厚く、慶喜を後継にするのを反対し、紀州藩の慶福を推す。
- 和宮(静寛院宮):深川麻衣さん…公武合体の政策で14代将軍家茂に嫁いだ。
- 川路聖謨:平田満さん…勘定奉行。師と慕う人の息子・平岡円四郎を慶喜の側近に推薦する。将軍継嗣問題で敗れ、西丸留守居役を命じられる。その後また外国奉行に復帰。
- 永井尚志:中村靖日さん…ペリー来航後海防掛となる。海防参与となった徳川斉昭の過激さに振り回される。将軍継嗣問題で処分される。その後大目付となり慶喜を支える立場となる。
- 土方歳三:町田啓太さん…新撰組副長。栄一とはある任務で一緒になり、同じ百姓出身と言うこともあり意気投合。鳥羽伏見の戦いで敗れた後、各地へ転戦したのち、榎本武揚や喜作と共に箱館に渡り五稜郭を占領。新政府軍と戦って壮絶な戦死をする。
- 渋沢喜作(成一郎):高良健吾さん…栄一の2歳年上の従兄で幼馴染。渋沢一族「新屋敷」の長男。千代との結婚を望んでいたが、千代と栄一が思い合ってると知り身を引き、自分はよしと結婚。江戸に出て尊王攘夷の考えに触れ攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために栄一と京へ旅立つ。栄一共に一橋家に仕官する。上洛しようとする水戸天狗党に慶喜の密書を届けに越前に行った時に、天狗党の軍が疲弊しているのを目の当たりして攘夷運動の成れの果てを見たとショックを受け、これからは一橋と慶喜を守るために生きると決断する。
- 伝蔵(須永虎之助):萩原護さん…中の家の作男で、栄一らと共に勉学や武芸を学ぶ仲。のちに一橋家の家臣となった栄一と喜作に呼ばれ、一橋家家臣となる。慶喜が徳川宗家を継ぐのに伴って幕臣となる。
- 原市之進:尾上寛之さん…慶喜の側近。
- 川村恵十郎:波岡一喜さん…一橋家の家臣。
- 栗本鋤雲:池内万作さん…奥医師から蝦夷地へ左選され、箱館奉行組頭となり功績が認められ目付となり、さらに外国奉行になる。向山、田辺に代わってパリに渡りヨーロッパでの幕府の信用回復に努める。
- 阿部正外:眼鏡太郎さん…老中。
- 小栗忠順:武田真治さん…勘定奉行。幕府の戦力増強を図る。フランスとコンパニー設立を目指す。
- 柴田剛中:江端英久さん…旗本。外国奉行。
- 板倉勝静:永井秀樹さん…老中首座。
- 松平乗謨:西海健二郎さん…老中。
- 福地源一郎:犬飼貴丈さん…外国奉行支配。
- 田辺太一:山中聡さん…外国奉行支配組頭。外交官。フランスに行った経験があることから昭武のパリ派遣に随行。幕府とは別に薩摩が独立して万博に出品しようしたことに猛抗議する。
- 福沢諭吉:中村萬太郎さん…
- 向山一履:岡森諦さん…幕臣。漢詩人。外国奉行。
- 杉浦愛蔵(譲):志尊淳さん…外国奉行支配調役。徳川昭武のパリ派遣随行員の一人。栄一と親交を深めて維新後は静岡に行き、のちに栄一が明治政府で栄一が立ち上げた民部省改正掛の一員となる。
- 山髙信雄:山本浩司さん…徳川昭武の傅役でパリへ随行。その後のヨーロッパ諸国の訪問にも同行。
- 高松凌雲:細田善彦さん…一橋家軍制所の医師だったが、慶喜が将軍となったことで奥医師に。徳川昭武のパリ派遣に随行し、留学生となってフランスで医学を学び帰国。箱館の戦いでは敵味方関係なく治療に当たった。
- 山内文次郎:渋谷謙人さん…通訳。パリの昭武一行の随行員。武士の為篤太夫が値切り交渉を拒む。
- 山内六三郎:松永拓野さん…通訳。文次郎が拒む値切り交渉を代わりにやってくれた。
- 菊池平八郎:町田悠宇さん…水戸藩士。昭武の護衛。
- 井坂泉太郎:林雄大さん…水戸藩士。昭武の護衛。
- 保科俊太郎:後藤田しゅんすけさん…通訳。
- 加治権三郎:尾関伸次さん
- 三輪端蔵:川端康太さん
- 服部潤次郎:石川啓介さん
朝廷
- 孝明天皇:尾上右近さん…幕府より攘夷を訴える水戸を頼りにする。家茂に和宮を嫁がせる事で幕府に攘夷を要求する。家茂の逝去後、慶喜に将軍に就かせる。
- 中川宮:奥田洋平さん…
- 岩倉具視:山内圭哉さん…公武合体のメリットを孝明天皇に説く。政争に負け浪人生活。
- トメ:梅沢昌代さん…岩倉の家で働く女性。
- 三条実美:金井勇太さん…攘夷志士たちに押され、幕府に攘夷せよと言う。
- 二条斉敬:森敬一朗さん
- 正親町三条実愛:置鮎龍太郎さん…薩摩寄りの公家。
- 明治天皇(睦仁親王):犬飼直紀さん…
- 中山忠能:堀内正美さん…明治天皇の外祖父。
長州藩
- 井上聞多(馨):福士誠治さん…尊王攘夷派の長州藩士だったが、伊藤俊輔らとロンドンに渡り開国派に。維新後は大蔵省に入り、栄一はその右腕となる。
- 伊藤俊輔(博文):山崎育三郎さん…長州藩士。
薩摩藩
- 島津久光:池田成志さん…薩摩藩の国父。公武合体を成すため軍を率いて上洛。雄藩による政治参画を実現するため「参与会議」を発足。慶喜とは横濱鎖港の件で対立する。政治の裏工作をことごとく一橋に潰され、次第に徳川打倒へと考えを変えていく。
- 西郷吉之助(隆盛):博多華丸さん…薩摩藩士。公武合体実現のため、流罪を赦免されて藩政復帰。一橋
- 家の命で大坂に来ていた栄一と出会う。策を巡らせ倒幕へと突き進む。
- 大久保一蔵(利通):石丸幹二さん…久光の側近として公武合体のために上京。腹の内が読めない慶喜を警戒。明治の新政府では大蔵卿となり、部下となる栄一と意見が対立する。
- 五代才助(友厚):ディーン・フジオカさん…薩摩藩士。長崎遊学の経験から世界情勢に精通。貿易による富国強兵を唱えてイギリスに留学中、フランス万博の情報をいち早く得て薩摩藩として参加を実現。幕府の威信を落とす。この時幕府側として参加していた栄一とは、のちに「西の五代、東の渋沢」と呼ばれる実業家となる。
諸藩
- 松平春嶽:要潤さん…前福井藩主。慶喜の優秀さを見抜き、将軍後継に推すために奔走したが敗れ、井伊に隠居、謹慎を命じられたのち、政界復帰。
- 伊達宗城:菅原大吉さん…第8代宇和島藩主。将軍継嗣問題で慶喜を推して隠居謹慎に処されたが、久光の公武合体運動で政界復帰。朝議参与に任命される。久光や春嶽と共に開国を唱え、慶喜と対立。
- 山内容堂:水上竜士さん…第15代土佐藩主。将軍継嗣問題で慶喜を推して隠居謹慎に処されたが、のちに朝議参与に任命される。慶喜に大政奉還を建白する。
- 松平容保:小日向星一さん…会津藩主。幕府から命じられて攘夷派が多くいる京の治安維持のため、病をおして上京。京都守護職に就く。市中警護のため浪士隊「新選組」は容保のもとで活躍。
- 松平定敬:小日向春平さん…桑名藩主。同い年だった家茂からの信頼され、家元と共に上洛。京都所司代となり、兄・容保共に京の警護にあたる。
- 徳川慶勝:稲荷卓央さん…元尾張藩主。
海外
- アーネスト・サトウ:カイル・カードさん…イギリスの通訳。
- ハリー・パークス:イアン・ムーアさん…イギリス公使。
- レオン・ロッシュ:ディディエ・ケアロックさん…フランスの外交官。
- アレクサンダー・シーボルト:アレキサンダー・サガラさん…フォン・シーボルトの息子。イギリス側の人間で、昭武の一行に通訳として怪しまれずに入り込む。薩摩と通じている様子。
- カション神父:ド・ランクザン望さん…フランス政府からの正式な通訳。シーボルトが昭武一行に加わってるのを見て警戒する。
- モンブラン伯爵:ジェフリー・ロウさん…薩摩が幕府とは別に博覧会で展示物を出すことに協力。
- フリュリ・エラール:グレッグ・デールさん…フランスの日本総領事。
- ヴィレット:サンシモンさん…フランスでの昭武の師。軍人。
第24回のあらすじ
正月を準備をしていた篤太夫の実家、渋沢の中の家にパリから帰国した外国奉行支配調役の杉浦愛蔵(志尊淳さん)が一家宛ての篤太夫の文を持って訪ねてきた。
杉浦から文を受け取った渋沢家のみんなは、篤太夫が仕える民部公子昭武のホトガラフを「もったいない。」とありがたく拝見。
続いて断髪洋装をした篤太夫のホトガラフを見た千代は「あさましい。」と異人と同じ姿形になってしまった篤太夫に拒否反応を示した。
杉浦はパリでは皆断髪洋装をしてると説明。
市郎右衛門は「姿形が違っても栄一は大和魂をなくしたりやしねえ。」といい、母・ゑいも呆れずに返事を書いてやって欲しいと千代にお願いするのだった。
慶応四年(1868年)1月2日。パリの昭武たちは正月の祝いをしていた。
そこへ、日本総領事のフリュリ・エラール(グレッグ・デールさん)が幕府からの御用状を届けに来てくれ、栗本(池内万作さん)が受け取り驚愕する。
御用状には「去る10月。将軍・慶喜が政を朝廷に返上。薩摩などと一致し政にあたる。」と書かれてあった。
幕府が政を失ったと知った昭武は、篤太夫と二人きりの時に「私はどうなる?」と不安を口にしつつも「まだ学びを続けたい。」と言った。
昭武の思いを受けた篤太夫が昭武の留学費用について頭を悩ませていたところ、エラールが証券取引所に連れて行ってくれた。
篤太夫はエラールから、国債を買ってフランス政府にお金を貸し付け期間に合わせた利子を受け取り、現金が必要なった時にその時点での"相場"で売ることが出来る。という証券取引の仕組みを教えてもらう。
社債も同じ仕組みで会社が借り集めた"金"で事業をする。リスクは伴うが、このお金が事業の役に立つと教えてもらった。
2月。
また江戸から御用状が届き、慶喜が薩摩との衝突を避けるために京を出て幕府の兵が終結する大坂城に入ったと知る。
栗本は御用状の内容を信じることが出来ず「逆賊御殲滅」の知らせを待つと憤慨した。
篤太夫宛てにも文が送られてきていた。
平九郎は見立て養子となって江戸に出て働けていることに感謝の言葉を述べていた。
惇忠からは、長七郎が罪を許されて牢を出たが以前のような快活さがなく、惇忠自身も自分も何かできないか?と考えてると書かれていた。
ゑいは篤太夫からの文を喜んでくれており、父の市郎右衛門が相変わらず信州への商いをしていると報告。千代が頼りになり、うたが面白い盛りなおかげで元気だと伝えてくれ、篤太夫の無事の帰りを祈ってくれていた。
そして待ちに待った千代の文には、異国の地で馴染まなければいけないとは理解しつつも断髪洋装をした篤太夫のホトガラフを見てあさましいとバッサリ。以前のような勇ましい姿に戻って欲しいとだけ書いてあり、相変わらずの千代の厳しさに笑いがこみ上げ会いたいと涙ぐむ篤太夫だった。
3月には、カション神父(ド・ランクザン望さん)が横浜から届いたニュースペーパーに「1月の初めごろに京と大坂の間で戦があった。」と書かれてあったと教えてくれた。
御用状にも同様の内容が書かれており、栗本は今までの知らせが嘘ではなかったと悔しがった。
御用状には鳥羽伏見の戦いの詳細が記されており、正月3日夕方から7日朝まで戦となり、幕府軍全軍が敗走して撤退。6日には慶喜が大坂を立ち退き、開陽丸で江戸まで戻ったとあり、朝廷は慶喜に「朝敵」の汚名を負わせたという。
そして関東征討の勅命を出し、兵隊を率いて江戸に向かうとのことだった。
昭武には慶喜からの直書で大坂から立ち退いた理由を「日本は内輪で騒動をしてる時節ではないゆえやむをえずこのようにした。」と書かれてあったが、急いで帰国しようと思わず留学を続けるようとも書かれてあった。
昭武は篤太夫に慶喜の言葉を伝え、意見を求めた。
篤太夫は全く解せないと言い、昭武も同意。しかし昭武はどうすればよいのかも分からないと迷う気持ちを打ち明ける。
篤太夫は文で諫めるようすすめ、政権を返したのに兵を動かしたのはなぜか?戦う意思がないならどうして兵を動かしたのか?戦い出したのならなぜ最後まで戦わなかったのか?と感情を高ぶらせ話す。
「朝敵の汚名を着せられ追討軍に追われても勇敢な家臣と共に戦わず、かようなありさまで神祖三百年の御偉業を自ら捨てられ、東照大権現様に何と申し開きなさるおつもりか?」と自分の意見を例えばという形で自分の意見を昭武にぶつけた篤太夫。
昭武は静かに「分かった。」と言った。
4月。
栗本、山内文次郎(渋谷謙人さん)、医師の高松凌雲(細田善彦さん)が先に帰国。
幕府の御典医である高松の行く末を心配する篤太夫だったが、高松は「医者がどこにいようが相手が誰であろうが平等に正しい治療をするのみ。」という真心をパリで見つけられたと言い、お腹の弱い昭武のための薬を篤太夫に預けて帰って行った。
閏4月。
篤太夫に、幕府軍として戦っていた成一郎からの文が届く。
淀・橋本の戦で負傷した成一郎は、江戸に戻っても薩摩、長州、土佐の勢いが盛んで慶喜はどんな勅命でも甘んじて受けると上野の寛永寺で蟄居。生きるか死ぬかの瀬戸際だと報告。
「お前が国を離れて以来、上様が少しでも尊王の大義に背いたことはない。俺は上様の汚名を雪ぐため旗本御家人の同志で同盟を結んだ。きっと挽回の時が来る。俺の今の願いはそれのみだ。」と、3月8日付で強い思いが書かれてあった。
篤太夫は涙を流して読んだ。
篤太夫は、幕府が各国に派遣していた留学生が無事帰国できるよう取り計らい、普段政務を行っている広間に布団を敷き、帰国の船に乗る前の留学生たちを迎えた。
床に直接布団を敷かれた状態を見て、ベッドがない。ケチだと不満を漏らす留学生たち。
篤太夫はそんな留学生たちに、今の日本の状態をどう思ってるのか?と問う。国の騒動で荷物同然で送り返される留学生たちに、惨めな思いをさせぬよう取り計らったのは、国の名誉を思ってこそで、昭武のお金をどうにか削って計らっているもだと事情を話す。
「お国が戦という一大事に、よしんばどんな柔らけえ床で寝たとしても、臥薪嘗胆の心があってしかるべきじゃじゃねえか!」と一喝。
留学生たちは「失礼を申しました。」と謝った。
5月。
日本の武蔵国飯能では、成一郎、惇忠、平九郎たち幕府軍が歩いているのを、新政府軍が待ち構えられ、銃撃を受けていた。
パリにいた昭武のもとには日本の新しい政府からの公文が届けられた。帰国を促す内容だった。
フランス政府も昭武の帰国をすすめているとエラールから聞かされたが、昭武に留学を続けさせるのが慶喜の願いだと拒否する篤太夫。
エラールは帰国してくるロッシュに聞いてから。ということにした。
7月。
水戸藩主慶篤(中島歩さん)が急逝したと知らせが来て、朝廷の意向で昭武が水戸家を継ぐ事が決定。昭武に帰国命令が出た。
突然のことに驚く昭武。篤太夫は帰国をさせようとする陰謀だと疑った。
そこへロッシュが昭武に帰国の挨拶をしにやって来て「新しい政府など無視して学業を続けましょう。日本に帰ったら危ない。」と昭武を引き留める。
しかし会津が新政府軍と戦ってると聞いた昭武は帰国を決め、フランスの人たちに感謝の言葉を述べた。
帰国前。篤太夫だけに帰国後の不安を口にする昭武。
「日本に戻っても私のそばにいてくれぬか。」と篤太夫に頼んだが、篤太夫は何も答えられなかった。
篤太夫は帰国前にエラールにお礼を言っていた。
エラールに証券取引所に連れて行ってもらった時に国債と鉄道債6万5000フランずつ買い、国債は4分の利子がつき、鉄道債は相場が上がって4000フラン・600両もうかっていたのだ。
エラールは「儲かっただけでなく、日本のお金がフランスの鉄道にも役立った。」と言う。
『Capitai Social』。一人では出来ない事業でも多くの人から少しづつ"金"を集めることで可能となる。小さな金が集まって大きな資金となる。
貸す方もただ貸すのではなく、事業がうまくいけば配当金がもらえる。
エラールの言葉を聞いて「一人が嬉しいのではなく、皆が幸せになる。」幼い頃に母から教わった言葉を思い出した篤太夫。
「一人一人の力で世を変えることが出来る。おかしれぇ。これだ。俺が探し求めてきたのはこれだ!」と目が覚める思いがしたのだ。
異人は皆敵だと思っていた篤太夫は、そのことをエラールに心から詫びた。
学んだことを持ち帰っても、どれだけ役立つか分からないが「日本のために尽くします。」とエラールに宣言。エラールは「期待しています。」と言ってくれ握手してハグして別れた。
昭武を迎えに先に帰国していた水戸藩士の井坂たちが昭武を迎えにパリに到着した。
師であるヴィレットから『インモルテル』という不滅を意味する黄色い花の花束を受け取った昭武は、ヴィレットに礼を言い颯爽とアパートを出て行った。
篤太夫たちは日本へと帰って行った。
…というお話でした。
昭武の本音
パリに到着したころの昭武さんは、慶喜の言いつけをよく守り一行の和を乱さぬために本音を漏らすシーンはありませんでした。
しかし今回第24回の昭武さんは、篤太夫にだけ漏らす漏らす。
学業は続けたい。徳川宗家は田安亀之助継ぎ、水戸に帰るのが怖い。と言っていました。
これまでは、14歳の少年が大将としていつも凛としていて素晴らしい強い子だなと思ってました。
血気盛んな水戸藩士、ずっと年上の幕臣たち。そんな大人たちが小競り合いをするのをずっと見せつけられてそれを仲裁したり、ここぞというときに自分の意思をはっきりと伝える姿はとても立派でした。
でも、篤太夫と二人きりの時だけは怖いと本音を言っていて、お殿様として育てられいても、やっぱり少年なんだなと少しホッとしました。
徳川にも居場所がなく、新政府の圧力を遠くパリにいても感じて。とてつもなく不安だったと思います。
篤太夫に日本に戻ってもそばにいて欲しい。と言ってすがる姿は切なかったです。
なんで篤太夫は「はい。」って即答しなかったのかな?
やっぱり慶喜のもとに帰りたいのかな?
なんだか一方通行な昭武の気持ちを感じてしまいました。
篤太夫は元々商人だからいいけど、昭武は徳川家としてこれからの明治の世をどうやって生きていくのかな?
せっかくヨーロッパで色々学んだのにな。もったいない。
薩長が昭武の知識を生かそうとするはずもないし。
あー、どうなるんだろう…。先のことを考えると寂しくなる24回の話でした。
成一郎は慶喜のことを分かってる
幕府軍を率いながら、大坂城から立ち退いた慶喜。
手紙でそのことを知らされ理解出来ない篤太夫と昭武。慶喜へのいら立ちを共有したことで距離がグッと近くなったように描かれていて、パリにいる人たちの気持ちが1つになるのはよかったのですが…。
成一郎は、慶喜が『朝敵』と言われることにかなり怒っていました。
「上様が少しでも尊王の大義に背いたことはない。」と篤太夫に文を書いて送ってきた成一郎の熱い気持ちが痛いほど伝わってきました。
篤太夫には理解できなかったけど、成一郎は慶喜が尊王に背いていないことが分かっていた。
この大事な時に慶喜の近くにいた成一郎と篤太夫の受け止め方の違いがはっきり出てました。
成一郎が一番慶喜の気持ちを理解している。手紙の中の成一郎は読む声だけでしたけど、カッコよかったです。
『八重の桜』を思い出した
2013年の大河ドラマ『八重の桜』では、松平容保が朝敵として見られたことに会津の人たちはずっと悔しさを抱えていました。
本当は容保は孝明天皇から熱く信頼されていた。
綾野剛さんが容保の役をされていましたけど、顔を真っ赤して苦しそうに耐える表情が今も忘れられません。
薩摩と御所を守って長州を追い払ったこともあったのに…。会津が追い込まれた時に薩摩の大砲が颯爽と来てました。
『八重の桜』の時も薩摩の事がよく描かれていました。八重は弟を鳥羽伏見で失って、薩摩を憎んでました。弟の服を着て会津で新政府軍と戦ってました。
今回は渋沢栄一の話だから、パリを中心に幕末の戦は少ししか出てきませんでしたが、会津と聞いて一気に『八重の桜』を思い出しました。
大和魂を忘れていない篤太夫
千代は断髪洋装となった篤太夫が許せなくて元の勇ましい姿に戻って欲しいと願っていましたが、新しい異国の文化を柔軟に受け入れたって変わってませんでした。
各国に留学していた留学生たちを帰国させるために働き、ベッドに寝かせてもらえないとブーブー文句言っていた学生たちに「お国が戦という一大事に、よしんばどんな柔らけえ床で寝たとしても、臥薪嘗胆の心があってしかるべきじゃじゃねえか!」と一喝してるのはビビりました。
ずっと合わなかった水戸藩士の菊池さんも、篤太夫の演説を聞いて心打立たれてる様子でした。
篤太夫は西洋に流されてなどいない。
ちゃんと大和魂を持って過ごしていた。
攘夷に突き進んでいる時の危うい・怖い・勢いある時の栄一を思い出しました。
ようやく帰国
次回は帰国して、日本の状況に直面するようです。
何も知らずに話だけを聞いた栄一がどんな反応をするのか?
ヨーロッパでの学びをどう生かしていくのか?
早く次が見たいです!!
以上、『青天を衝け』第24回の感想でした。
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