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いやおうなしに知らされました。わたしは藤原の女なのです。――里中満智子「女帝の手記」 孝謙・称徳天皇物語第五巻より

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里中満智子「女帝の手記」は、孝謙・称徳天皇物語全五巻の漫画です。

里中満智子さんといえば、持統天皇の一生を題材に描かれた「天上の虹」が有名です。

第一巻「まほろば光明皇后」

第一巻は、孝謙天皇の幼い内親王時代から史上初の女性皇太子になるまでのお話です。

藤原家の一員であることに誇りを持ち、何の疑問を抱いていなかった少女、安倍内親王(のちの孝謙天皇)。

長屋王の変、弟の基皇太子の死に直面し、今まで見えてこなかった藤原家の闇を見る事になり、戸惑う姿が描かれています。

 

頼りない父・聖武天皇と、母安宿(のちの光明皇后)の強さを目の当たりにし、誇りに思いながらも反発心が芽生えていく様子を丁寧に描いています。

一方で遣唐使から戻った僧、下道真備(のちの吉備真備)から勉学を教わり、影響を受けていく様子も描かれていて、思春期ならではの心の揺れが共感出来ます。どんどん読み進める事が出来ました。

 

 

母親を少し批判的に見る目線が、思春期の女の子あるあるで共感出来ました。

 

聖武天皇と光明子は同い年で、甥と叔母でもあります。

聖武天皇の母・宮子が光明子の姉であり、同じく藤原不比等の娘なんです。

皇太子と臣下の娘でありながら、どこか対等な感じがするのは、そのあたりが関係してるのかもしれません。

このあたりは、「長屋王残照記」で詳しく描かれています。

 

2010年のNHKドラマ「大仏開眼」を思い出す

前にNHKのドラマで「大仏開眼」というのがありました。浅野温子さんが光明皇后の役、國村準さんが聖武天皇役、石原さとみさんが安倍内親王(孝謙天皇)の役をやっていました。

この時のイメージも光明皇后が強い女のイメージでした…。そういえば。

石原さとみさんの安倍内親王も可愛らしかったです。

高橋克典さんの藤原仲麻呂は、野心家な感じが出ててとっても似合ってました!

NHKなんでリクエストすれば再放送やってくれるかもしれません!!

 

www6.nhk.or.jp

 

 

第二巻「たゆたひ聖武天皇」

第二巻は、皇太子になった安倍内親王から見た藤原広嗣の乱や、その後の父聖武天皇が遷都を繰り返した様子が描かれています。

藤原派と、元正上皇率いる半藤原派との政治対立を生々しく描いていて、歴史上の出来事が、現代のサスペンスのように感じられて面白かったです。

元正天皇のお話は、「長屋王残照記」に詳しく描かれています。↓

 

www.lovetv.site

 

 

両親を見て学んでいく安倍内親王

父である聖武天皇の苦悩の経過と、大仏造立にのめり込む聖武天皇を娘の目線で描かれています。

わたしが天皇になってもこうはなるまい…」と言ってるのが印象に残りました。

若い時って大人のだらしない部分をしって失望して、自分はそうならないって思うもんですよね~?

身近な親には特に厳しい目で見たもんです。

二巻を読んでると、自分の思春期を思い出しました。これから理想と現実にぶち当たって葛藤していくんですよね…。

 

誰でもありそうなあるあるが詰まった巻だと思いました。

 

 

第三巻「うつせみ藤原仲麻呂」

仲麻呂との秘密の恋にのめり込んでいく安倍皇太子。そして天皇の地位についた孝謙の政治が描かれていました。 

 第三巻は、読んでいてイライラしました。

若いから?母が偉大過ぎるから?仲麻呂がスゴイから?

なんかもうちょっとどうにかならんのかな?と思いました。

 

大仏開眼会を描いたところは、カラーだったらよかったのになぁ!

華やかな天平文化って感じで明るい感じがしました。

それと、鑑真、吉備真備、道鏡と次々と歴史の教科書で読んだ人物が登場して興奮する巻でした。

 

 

第四巻「かぎろひ淳仁天皇」

天皇として名ばかりとなっていた孝謙天皇。

 

頼りにしてきた母・光明皇太后の死で、一気に目が覚めます。

そんな孝謙天皇が出した答えとは?

 

第四巻は自立していく過程が面白い!

第四巻はドラマティックでした!!

読んでいて晴れ晴れしました。

 

仲麻呂との関係、構思い切った設定だなぁと思いました。

まぁでも人間関係が狭い時代だし、あり得ない話じゃないですよね??

女性が天皇だとこういう風な解釈になっちゃうの?

作者が女性だということで、女性なら感情の方を優先するだろうみたいに言われてる気がして、ちょっとこの設定は腹が立ちました。

とまぁ、最初は抵抗がありましたけど、読み進めるうちに流れが自然に感じられて途中から納得してしまいました。

 

 

第五巻「たまゆら道鏡」

孝謙上皇が道鏡と近づき、焦った仲麻呂はどう動いたのか?

 

天皇として次々起きる問題に厳しい態度で当たっていくさまは、女性ならではだと思いました。

 

第五巻で心に残った言葉

この時の冷徹さと弱さを表した言葉が印象的でした。

ーーーわたしの中の「藤原」がさせたのです。

いやおうなしに知らされました。わたしは藤原の女なのです。

そして父上の娘でもあるのです。ーーー

第一巻で抱いていた両親への疑問を、自分が為政者になって同じことをしていることに気付くこのシーンが、私の中で一番心に残りました。

 

あとは道鏡と称徳天皇との関係ですが、里中満智子さんなりの解釈で宇佐八幡宮神託事件の真相を描いています。

 

 

 

道鏡とのことは?

さてさて、道鏡は天皇を利用したの?利用されたの?結局どっち?

読んだ人によって意見が分かれると思います。

 

歴史に詳しくない人でも、孝謙天皇が悩む内容は現代に生きる私たちと何ら変わりなく、親近感がわくことばかり。歴史上の人物がグッと身近になりました。

とはいえ、生々し過ぎるところもあったかな?

みなさんはどんな感想を持たれるでしょうか??

 

 

以上、「女帝の手記」1~5巻全巻読んだ感想でした!!

 

 長屋王を主人公した漫画の感想です。↓

 

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BSプレミアムの『英雄たちの選択』という番組で、吉備真備を取り上げた回の感想です。↓

 

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BSプレミアムの『英雄たちの選択』という番組で、持統天皇を取り上げた回の感想です。↓

 

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