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見苦しい振る舞いや言いわけはしたくない。--里中満智子 「長屋王残照記」第三巻より

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「長屋王残照記」は1991年初版の、里中満智子さんの全三巻の漫画です。

長屋王は、天武天皇の皇孫で左大臣にまで上り詰め、藤原四兄弟によって追い込まれて亡くなった悲劇の人です。

今も教科書に載ってるか分かりませんけど、「長屋王の変」として歴史上残っています。

生駒山に葬られたとされており、奈良県生駒郡平群町に「長屋王墓」として現在もあります。

宮内庁治定 長屋王墓 - 平群町公式ホームページ

 

この漫画が初版された1991年の3年前の1989年(平成元年)、奈良市の長屋王邸跡の広大な土地に大きなデパートが建てられました。

しかしこの土地は、建築する前の調査で大量の木簡が見つかり、その上に建てるなんて!とそりゃあもうマスコミが書き立てて、反対していたのを私も当時子供ながら覚えています。

史跡が埋まっているこの土地を掘ることができず、デパートなのに地下がありませんでした。

このデパートは2000年で閉店。2003年にイトーヨーカドーが入りましたが、それも2017年に閉店。2018年からはミ・ナーラへと変わっています。

 

www.mina-ra.com

 

この変遷を見て「長屋王の呪い」だと面白おかしく言う人もいましたが、単にここは駅から遠く、ちょっと不便なところというのも長続きしない原因の一つにあると思います。

 

とまぁ長屋王といえば「呪い」と結びつき、関心が高かった時期に出た「長屋王残照記」。

当時私はこの作品の存在を知らなかったのですが、つい5年ぐらい前に知って読み、面白かったので紹介したいと思います。

第一巻 あおによし

京がまだ藤原京にあった時代で、体の弱かった当時の天皇・文武天皇が亡くなり、その母の元明天皇が即位するところからスタートしました。

長屋王は、その元明天皇の娘・吉備内親王の夫で、自身は天武天皇の孫。血筋も実力も兼ね備えた人物でした。

 

第一巻は元明天皇が藤原不比等の提案する平城京への遷都を受けいれ、徐々に藤原一族が力をつけていく様子が、読んでてゾワゾワしました。

文武天皇の遺児、首(のちの聖武天皇)は体も弱くて幼いため、すぐに天皇にする事は出来ない。中継ぎとして即位した元明天皇の政治が中心の巻です。

 

現在近鉄奈良駅の待ち合わせスポットになっている行基像。その行基についても描かれていますので、何をした人なのか分からない…という疑問も解かれると思います。

 

 

 

 

第二巻 ぬばたまの

第二巻は、元明天皇が譲位して娘の氷高内親王が即位。元正天皇になってからのお話です。

 

房前が長屋王に憧れる

藤原四兄弟が、父不比等亡き後もやっていけるよう、努力している姿も描かれています。中でも次男の房前は、長屋王を見習って教えを請い、積極的に長屋王に接触していました。

 

あくまで漫画なんでどこまで本当なのか分かりませんが、房前が長屋王に憧れていた…という説は新鮮でした。着々と力をつけていく長屋王を、苦々しく思いながらもその裏表ない人柄に触れて敵わないと思う…。そういう人間模様が読んでいて面白かったです。

 

それと、女性天皇として強くあろうとする元正天皇がまた素敵!!

 

 

 

第三巻 ひさかたの

第三巻は、元正天皇が譲位して上皇となり、聖武天皇が天皇になります。

長屋王が天皇に次ぐ位の左大臣となって、ますます警戒を強める藤原四兄弟。一番長屋王に影響を受けていた房前の、憧れが憎悪に変わっていくさまが描かれました。

長屋王自身も、清廉潔白を周りの人にまで求めて確執を生んでいき、煙たがられる存在になっていく…。

藤原家は、光明子を皇后にしようと画策。しかし長屋王が大きく立ちふさがります。

長屋王を排除したいと考えた四兄弟は、聖武天皇と光明子の子、基皇太子が亡くなったのは、長屋王が自分が天皇になる為に呪ったせいだとでっち上げます。

そして長屋王一家を悲劇に追い込んでいったのでした…。

 

長屋王の最期が強烈!!

この流れがもうひどすぎて、読んでいて腹が立ちました!!

長屋王は、タイトルにも書いた「見苦しい振る舞いや言いわけはしたくない。」と自分の美学を通し、いわれのない罪を受け入れると、妻の吉備内親王に告げました。

この言葉は「長屋王残照記」で描いてきた長屋王という人物をよく表した言葉だと思いました。

しかし思わぬ事態が起こり、長屋王は最後にある行動に出たのです。

 

現在、長屋王というと「呪い」という言葉に結び付けられますが、この漫画を読めば、なるほどな~。そういう最期ならありえるかも…。と思ってしまいました。

 

皆さんはどう思われるのか?どういう結末かは読んでのお楽しみです。

事件をただの悲劇ではなく、そこに行く着くまでの人間の心情とか葛藤とかが丁寧に描かれています。

歴史上の人物に思いをはせるのもいいんじゃないでしょうか?

 

 

 

 

歴史上の出来事を難しい本で読むのもアリですけど、漫画でサラッと読むほうが映像化されてより頭に入ってきます。

 

長屋王墓

これを読んで、長屋王邸跡とか長屋王墓に行くのもいいと思います!!

ちなみに長屋王墓は住宅街の中にあるので、ちょっと見つけにくいかもしれません。雑草がうっそうとしてくる前に行った方がいいかも?

駅からはちょっと距離があるので、歩きやすい格好でいくことをおすすめします。

 

ちなみに近鉄生駒線平群駅に大阪方面から行くには、大阪難波から奈良線に乗り、生駒駅で生駒線に乗り換えるか、JRなら天王寺駅からJR大和路線で王寺駅へ行き、そこで近鉄王寺駅に乗り換えて生駒線に乗る方法があります。

 

 

 

 

以上、「長屋王残照記」を読んだ感想でした!!

 

 

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