「古事記」<壱>、<弐>は、2013年に小学館創業九十周年記念企画「マンガ古典文学」シリーズの第一回として刊行された里中満智子さんの漫画です。
<壱>は、古事記の上巻~中巻の途中までと、<弐>は中巻の途中からと下巻までの内容になっています。
<壱>の感想
<壱>は、上巻の宇宙が出来てから神々の誕生、出雲の国譲りの話や、のちの神武天皇である神倭伊波礼毘古(かみやまといわれびこ)が誕生するまでのお話。
中巻の神武東征から初代天皇になる話と、第二代綏靖天皇から八代までの天皇の名前を家系図にしてまとめたものでした。
壱は神話のお話がメインです。
なんとなく名前は聞いたことあるけど、ちゃんとは知らなかった神話が、まんがなのでよく理解できますよ!
ただ、駆け足ぎみに次々と話が変わるので、話についていけないところがあります。
今まで、歴史の授業で古事記という歴史書があるということは知ってましたけど、神様が日本を作るところからの話だったとは知りませんでした。
「古事記」の神話が、小学生の時に読んだギリシャ神話で似てる話があるなと思いました。
里中満智子さんもこの漫画の中で指摘していました。
私が小学生の頃に「聖闘士星矢」というアニメが放送されていて、ギリシャ神話に興味を持ちました。
それで図書館に行って「十二星座物語」だったかな?児童向けの物語を読んだ記憶があります。ちょうど学校でも理科で星の観察の授業がありましたし。
ちなみに私は「聖闘士星矢」では、紫龍が好きでした。
あと、神話の神々の似たような名前が多く、こんがらがりました。
天孫降臨
大国主神から中国(地上の国)の統治を任せられた天照大神は、孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)と、お供の神々を中国(地上の国)に降りたたせます。
天皇の祖先だけが神じゃなくて、臣下の祖先たちも神だったという話。
天皇家だけなく、周りの皆にもちゃんと配慮してるのが日本らしいなぁと思いました。
神の話から人間の話、のちの天皇家につながっていきます。
神武東征
話は中巻に入ると、天皇家の権力争いに移ってきました。話が人間の話になって来て、グッと分かりやすくなってきました。
<弐>の感想
<弐>は中巻~下巻の内容で、第十代崇神天皇の時代のお話から推古天皇の話までになりますが、最後は日本書紀とも重なる部分があるので、年表と家系図でまとめられていました。
倭建(ヤマトタケル)命の話
今現在も歴代天皇が継承する三種の神器の一つ、草薙の剣。
勾玉と鏡は伊勢神宮にあるのに、剣だけがどうして尾張・熱田神宮にあるのか?その理由も描かれていました。
どんなドラマがあるのかは読んでからのお楽しみです。
地名の由来
知ってる地名が出てくると急にグッと親近感がわいてきます。近畿のみならず、東国征伐で、尾張とか焼津とか出てきますよ!
地名の由来を知れて面白いです。
あと、各地に伝わる伝説とか、岩の名前とか、「古事記」の内容を知ってることで「あああのことを言ってるのか。」と理解出来たりして、ちょっと得した気分になれます。
<弐>の倭建命の話は面白かったです!
正直、<壱>は登場人物の名前が漢字の似たような名前ばかりで難しいし分かりにくかったです。
なので途中読む気持ちがくじけかけましたが、<弐>に入って断然読みやすくなりました。
人間らしい話に入ったからかもしれません。
<弐>では、倭建命の話の他に、神功皇后の話も出てきました。
神話なんだけど本当の話も混じってる。というのに引き付けられました。
元号が変わる今、日本の歴史をゆっくり振り返るいい時期かもしれません。
この里中満智子さんの「古事記」なら漫画で読めるし、絵でイメージだけつかんで読む事も出来ていいと思います。
私は、わからない部分を絵だけ見て飛ばして読み、後で読み返してだんだんわかってきました。
私は<弐>から読む事をおすすめします!
<壱>から読むとなんだか名前がややこしくて読む気を失ってしまいますが、<弐>からだと話に入っていきやすいと思います。
それに、エピソードごとに話を区切ってその都度解説してくれるので、難しい話も理解出来ました。何度も読み返して面白さが分かっていく。そんな漫画でした。
以上、里中満智子「古事記」<壱><弐>を読んだ感想でした。