テレビ好きぴえーるの日記

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天国からのお客さま を観た感想とネタバレ②故 勝新太郎、現世の高校生に演技指導?

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BSプレミアムで2018年10月20日土曜日夜8時~10時に放送されたドキュメンタリー、スーパープレミアム「天国からのお客さま」を観ました。

www.nhk.or.jp

この番組は2時間あったので、今回、前回を含めて5回に分けてネタバレを書いていく予定です。ちなみに、以前書いたものです↓

 

www.lovetv.site

 

 この番組は、ロボット工学の世界的権威である大阪大学石黒浩教授の全面協力のもと、死者が現世に蘇った、という設定のドキュメンタリーでした。

蘇ったのは、1997年に亡くなった勝新太郎さん、2011年に亡くなった立川談志さん。そして、1916年に亡くなった夏目漱石さんでした。

今回は、「勝新、学校へ行く。」というコーナーの感想を書きたいと思います。

目次

座頭市勝新太郎の紹介

全国大会屈指のレベルだという、千葉県立松戸高等学校の演劇部のみなさんに演技指導する為、表情まで変わる、精巧なつくりの勝新太郎人形が高校へ行きました。

(これ以降、人形扱いせず勝さんと書いていきます。)

座頭市の歌を歌いながら、演劇実習室で部員たちを待つ勝さん。机と椅子が勝さんの前に並べられていて、部員が着席し、勝さんの様子に部員らは皆、驚きと戸惑いを隠せず、騒然とします。

しかし「部長さん。」と勝さんが部長を呼び、大会で勝ったのかを聞きました。全国大会で優秀賞をもらったんだそうです。「優秀賞、すげえな。」勝さんは言いました。

そして「座頭市」を知らない生徒さんたちに、1962年公開の「座頭市物語」を見せました。勝さん演じる盲目の居合の達人、市が火のついたろうそくを高く上に投げて、刀で縦に真っ二つに切った後も、火がついたまま、というシーン。

そして二人の男を相手に、音もたてず静かに斬るシーンを見せました。

 

座頭市」は、原作はわずか10ページの短編だが、映画は26本、ドラマは100本作られたそうです。大竹しのぶさん、緒形拳さん、森繁久彌さん、吉永小百合さんと出演者も豪華でした。

キル・ビル」のタランティーノ監督も勝新太郎のファンで、わざわざ会いに来たそうです。今なお、勝新太郎は世界に影響を与えています。

 

ビデオを見終わったあと「へへへ、面白そうだろ。」とはにかむ勝さん。ずっと手に持っていた刀は、映画で使ったものでした。「要らねえ部員がいたら、たたき斬ってやるよ。」と言って笑いを誘っていました。

場が和んだところで、教室の後ろから男の人が走って勝さんの目の前にやって来ました。朝ドラ「わろてんか」にも出演していた俳優の前野朋哉さんです。前野さんの登場で、生徒さん達が沸き上がりました。

前野さんは芝居の神様、勝新太郎が蘇ったと聞いて居ても立ってもいられず来たと言います。

 

嘘を信じさせる

前野さんを迎え、一時間目「嘘を信じさせる」という演劇の授業が始まりました。

「いいか、芝居っていうのはね、“嘘”だよ。でも信じさせなきゃいけない。リアリティーって言っちゃうと、香りが飛んじゃうんだけどな。真実味っていうのかな…。」と勝さんが語り出しました。

勝さんは、1980年当時48歳のとき放映された「警視ーK」というドラマを、生徒さんたちに見せました。喋るシーンが流れたのですが、普通に喋ってて聞こえにくいものでした。「何話してるか分からない。」とクレームが来たと言います。

「当たり前だよお前。普段滑舌よく、ペラペラペラペラ喋ってるやつ、見た事ねえんだ。他人に聞こえるように喋ってる人なんて、いないよな?今は若い役者さん、皆普通にこうやってるんじゃないの?」と勝さんは言います。

生徒さん達も皆納得してる顔です。

ドラマの1シーン。石橋蓮司さん(当時39歳)が強盗に襲われるというシーンが流れました。その時の表情は、ホントに驚き、戸惑っているものでした。勝さんは「蓮司の芝居、リアルだろ?」と聞きました。前野さんが「そうですね。」と言いました。

 

どうやって撮ったか?勝さんが生徒さんたちに質問しました。

「本当の犯罪者を連れて来た。」と答える生徒さんに「そしたら捕まっちゃうよ。」とツッコむ勝さん。

「犯人自身の目線で撮られている点だと思います。」と答える生徒さん。「あんた、演者というよりカメラ助手みたいな…。いい感覚だと思うよ」と褒める勝さんです。

「それも一つだ。これね、蓮司には何も教えてねえんだ。台本も渡してねえんだ。ただ「お前、部屋に立ってろ。」って。で、強盗入ってきちゃった。」と種明かしします。

「ドッキリみたいなことですか?」と前野さんが質問。

ドッキリだね。じゃ前野、一日一日、先のこと分かってるかい?台本ねえだろ。台本っていうのがあると、自分の未来を知っちゃうんだ。あそこでこうなるから、じゃ、ここでちょっと抑えといて、最後のあそこでいいとこを持ってこうみたいな、欲が出ちゃう。俺は、卑しい芝居って呼んでんだけど。」と勝さんは言います。

 

偶然完全

次に勝さんは、豊臣秀吉役で出演した1987年の大河ドラマ独眼竜政宗」の映像を流しました。渡辺謙さん演じる政宗小田原城の戦いで遅れて到着し、命がけで秀吉に初めて謁見するシーンです。

白装束で現れた政宗を、睨むように出迎える秀吉。二人のなかにはヒリヒリした空気が流れています。政宗の顔は光に当たって全部見えますが、秀吉は少し影がかかって全部の表情が見えません。

勝さんは「秀吉と政宗が初対面。生まれて初めて会うシーンだね。でも当然これドラマだから、本番の前に挨拶したり、本読みしたりするよな。俺はしなかったんだ。」と本番前、渡辺謙さんと一度も会ってなかったと言います。

「会ったら、初対面じゃねえじゃないか。政宗が秀吉にビクビク震える緊張感が消えちゃう。だからこのシーンは本当に正真正銘俺たちは初めて、会ったの。そうすっとね、カメラさん、照明さんもおんなじ緊張感。画も変わってくる。カット割りも変わって来るだろう。それが映る。それでね、本番は脚本にないことをやるんだよ。」と言って続きの場面を見せてくれました。

秀吉に促され、秀吉の目の前まで近づく政宗。脚本では、「政宗の肩を杖で軽くつく」。それが“許す”の合図でした。

しかし勝さん演じる秀吉は、杖を高く振り上げ政宗の首を打ちつけました。そして「小田原城が落ちた後は、その方の…首はなかった。」と言います。その時の渡辺謙の表情は口を開けたまま目も潤んでいました。

渡辺謙、すげえだろ?芝居を続けてる。いい顔なんだよ。あの顔はお稽古して出来る顔じゃない。台本と違う事された時に「ちょっとそれ違うんで…何ですか?」なんて言っちゃダメなんだよ。でこれは、俺はバシッと打った。偶然だよな。偶然やっちゃったことだよ。それに渡辺謙が応えた。これがね、芝居の一番の醍醐味だね。偶然を演技に取り込むんだ。偶然完全。偶然っていうのはね、完全なんだよ。偶然に任せときゃ、川が高いとこから低い方へ行くように、ス~ッと流れていく。」と勝さんは言いました。

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フリー写真素材ぱくたそ

 

場面変わって、この「偶然完全」という言葉を勝新太郎が主宰した演技学校「勝アカデミー」の一期生である小堺一機さんが解説しました。

初めて会った時、スターである勝さんはオーラはあるけれど、近寄りがたい感じの人ではなく、非常に開いてる人だったと言います。

「偶然完全という言葉はお好きでしたね。例え話ですよ、例えば雷蔵さんが馬に乗ってたら落っこっちゃたと。カッコいいシーンで。使わないですよね、それ。かっこいいんだから。でも、落ちたらどうなるんだろうから話は作れねえかっていう事なんですよ。だからそういう失敗だと思ってることが実は、凄くいいことかもしれないしっていう…。あと、無駄の中に宝があるって言ってましたね。無駄の中に宝があるのに、皆無駄のとこ、見てない。」と言い、いつも違うパターンを考えていたと言います。だから勝さんと何日一緒にいても飽きないんだと思う、と語りました。

 

確かに、私もドラマを観てるときって確かにセリフだけ聞いてるだけじゃなくて、俳優さんの表情も含めて観ています。気持ちがこちらに伝わってきます。

演技に限った事じゃなくて、普段の会話でも、偶然出たものの方がウケたり、自分が狙ったことじゃない方がウケたりすることがありますよね。

 

 

部員への演技指導

勝さんの話が終わっあと、部員さんたちの芝居を見ることになりました。

お題は「桃太郎のおじいさんを殺してみよう」というもの。鬼退治から戻った桃太郎がおじいさんを殺さねばならない理由や、台詞は生徒さん自身で考えます。

部長が一番に手を挙げました。夢は「個性が出せる役者。」

勝さんは「あんたが意識してないとこだよ。今立ってるそこで出てる。」と観に来たお客さんは声、立ち姿、歩き方などの最初の印象で想像する、それが個性だと言いました。

 

部員による演技が始まりました。

おじいさん役は前野さんで、桃太郎は部長。部長は反抗的な態度を取りながらおじいさんを近づけようとしません。やさぐれた感じで、おじいさんは戸惑います。

いきなり刀を構える桃太郎。「うわ~」と声を上げながらおじいさんを斬り付けました。

演技を終え、勝さんは「説明しないのがいい。なんで桃太郎が機嫌悪い?客が想像するんだよ。ただ、殺す時に全くの殺意だけになってちゃ、ちょっとためらうとか、あるとゾクッとする。怒ってた背景がもっとお客に届く。」と教えました。

 

次に挑戦した部員さんの演技は、勝さんの言葉を参考に、帰宅後すぐにおじいさんに刀をつきつけ話し出しました。「旅して気付いたんだ。悪いのは人間の方だって。」と。

戸惑うおじいさんに構わず正義を貫こうと、刀を振りかざし斬り付けようとします。おじいさん役の前野さんもなだめようと、あの手この手で説得しましたが、「ばあちゃんはいないよ。」と村の人も、もう誰もいないと言って、ためらいながらもおじいさんを斬り付ける。という演技を終えました。

「テーマを作ったな。人間の方が悪いんじゃねえか。これは説得力あるよな。「ばあちゃんはいないよ。」ってあれ、いいね。「ばあちゃんも死んだよ。」じゃつまんない。…で意識したかどうかは分かんないけど、「殺すのは辛いけど仕方ねえんだ」って顔に見えた。」と演技を評価しました。

 

最後にプロの俳優である前野さんが演技しました。今度は勝さんがおじいさんです。

前野さんは、新しい国を作る為、おじいさんに「死んでほしい。」と近づきます。勝さんも「俺も十分生きた。やれよ。」と返します。

ためらいながら桃太郎は斬り付けました。でもなかなかおじいさんは死にません。何度も刺しておじいさんは苦しそうです。おじいさんに謝る桃太郎。最後に止めを刺しました。と、演技終わりました。

 

演技を観ていた生徒たちは顔をゆがめて目を逸らしていました。「生々しい。間もリアル。殺してるように見えました。」と生徒たちは言いました。演技した前野さんも、勝さんが死んでるように見えたと言います。

 

前野さんの演技の評価が始まりました。勝さんは「死んでくれ。」と台詞で言った事に引っかかります。

「言わないと面白えぞ。自分の中からもくもくむくむく材料が出てくる。ふと、したことない顔、したことない仕草、勝手に出てくる。相手も死んでくれって言わない限りは、殺されると思わねえんだから。感じてる。何かおかしいなって。この二人の間の空気が怖い。と演技指導しました。

 

確かに、私も二人の演技を見てゾクッとしました。死を受け入れるおじいさんと謝る桃太郎。さっきの秀吉と政宗じゃありませんけど二人の緊張感が伝わりました。

 

休憩時間。

部員さんも感極まりながら「実際の親子じゃないのに、本当に勝さんが父親の姿に見えて、すごい、これが本当の演技かって思いました。」と涙をこらえて話していました。

他の部員さんは「勝さんがおっしゃっていた、自然体の演技っていうか、台本のない嘘なんだけど真実っていう芝居はこういうものなのかって見れたような気がしました。」

と感想を述べていました。

 

この番組で出演している勝さんは、何度も言うようですが人形です。しかし目の前にした部員、私を含む視聴者も皆、本物の勝さんだと思い引き込まれました。

この番組の勝さんだって、いわば“嘘”なんですけど、信じてしまいました。

 

役者とは人を知ること

「役者とは人を知ること。人から目を離さない。それを突き詰めてね、最高作って言ってもらえた作品がある。」

1978年放映「新・座頭市Ⅱ冬の海」という作品です。当時19歳の原田美枝子さんが演じた絵描きの少女は命がわずかでした。少女を看取ろうとする市に殺し屋が迫る、という話です。

撮影現場は混乱を極めました。

脚本を、撮影直前になって役者に合うように勝さんが全部変えてしまったそうです。

また、原田美枝子さんが下駄を合わせて海を見る、ということをされたのを勝さんが気に入り、その下駄で出来たフレームからみえる海をカメラで撮ったそうです。

当時のスクリプターの方は勝さんのことを「その場に立つと、そういう感性というか、何か分かるんですよ、全てに分かってる方だった。天才です。」と語ります。

脚本を担当されてた方は「本屋は要らないんでは?」と勝さんに言ったら「市、少女、海この3つでいい。」と言われたそうです。

 

もうここまで来るとちょっと理解が難しくなってきましたが、結果いいものが出来たのなら、スタッフさんも何も言えなかったんでしょうね。それぞれ専門に自信を持っている人だったんでしょうけど、勝さんには敵わなかった、ということでしょうか?

高度過ぎて私には理解出来ませんでした。

 

台詞なしの演技

二時間目の授業は「いい台詞とは」でした。

勝さんは「映像だと目で言えちゃう台詞がある。目をちょっと動かすだけで、企んでるとか悩んでるとか伝わる。でもさっきの稽古を見ても、台詞がないとちょっと不安になっちゃうのかな。今度はね、台詞なしで相手に「好き」って伝えてみようかね。」とお題を出しました。

 

これはさっきの殺す演技と違って、自分の引き出しの中にあったものなのか、男性部員さんと女性部員さんのペアで、男性から女性に伝えるという演技が上手でした。台詞なしでも十分伝わってきました。

観ている他の部員さんたちの方が照れていました。

次は前野さんが女性部員に思われる演技をしました。こっちも観ている部員さんを巻き込んで大盛り上がりでした。

こっちも観ていて照れました。演技とはいえ、現役の高校生。「ホントに好きなのか?」と現実と嘘がごっちゃになって観てしまいました。

 

 

台詞なしで気持ちを伝えられるか?

演技を終えて前野さんが「おっしゃてることは分かるんですけど、やっぱりなかなか体で体現して、こう…あの台詞を喋ってしまいますし、追い詰められると余計喋ってしまうっていう…。」と戸惑う気持ちを素直に勝さんにぶつけました。

「そうだね、分かってるんだけど今、この居心地の悪さを台詞でごまかそうとしちゃうんだけど、水泳と一緒でさ、水泳の本100冊読んだって泳げねえよな。これはもう、体で覚えるしかない。やっぱり役者ってのは嫌なこと楽しいこと、自分が嫌いになること、自分が好きだなって思うこと。全部がお芝居やる人にとっては、栄養だね。」と話し始めました。

 

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勝さんは、「俳優からは学ばない。道歩いている人、喫茶店でお茶を飲んでる人、映画館で隣に座った人。だから俳優ってのは、役者やろうなんて人は、毎日がどっからが勉強か分かんない。タダで全部勉強だ。と教えていました。

 

最後は、これから俳優になろうとしている部員さんたちに最後の言葉を投げかけていました。

「俳優にとってね、実は最大唯一の観客とは、自分自身。自分っていう観客を認め、良しとするものは誰が何と言おうと最大の価値。その誇りを失わず千里の道を歩き続ける人は、心ある本当の俳優である。」と言っていました。

 

高校生からしたら、生まれてきた時はもう亡くなっていた勝新太郎。今回現世に蘇って演技指導するという設定で、最初はちょっと戸惑ってるところはありましたけど、皆、真剣に話を聞いていました。

そんな高校生の姿を見て、実際に勝さんが本当に話しているんじゃないかと錯覚しました。

 

私は演技については良く知りませんが、ドラマはよく観ます。そこで感動したり怒ったり、楽しませてもらってます。

演技の奥深さを知って、今までと観る目線が変わりそうです。

 

以上、勝新太郎の演技指導のネタバレでした。

 

次は立川談志さんの対談話を書きたいと思います。

 

 

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