2019年1月2日夜10時15分から11時30分まで、NHKで放送された「新春TV放談2019」。
「新春TV放談」は、毎年1月2日頃に前年のTV番組について、局の垣根を越えて語るトークバラエティーです。私はこの番組を2015年に初めて観て、その内容の面白さを知りました。毎年観ています。
ドラマとバラエティーのランキングをまず発表していました。よくある視聴率ランキングではなく、10代~60代の視聴者の人がどの番組が好きだったのか?何をよく観たか?というランキングなんです!
2019の出演者は、まずは司会の千原ジュニアさんとNHKアナウンサーの杉浦友紀さん。ドラマ好きのタレントで女優のYOUさん。テレビウォッチャーである音楽クリエーターのヒャダインさん。芸能界の新・ご意見番のお笑い芸人のカンニング竹山さん。代表作「ゴットタン」でテレビ東京プロデューサー佐久間宣行さん。代表作「おっさんずラブ」でテレビ朝日プロデューサー貴島彩理さん。テレビ動画配信サイトSHOWROOM社長前田裕二さん。という面々でした。
番組の内容が濃かったので、分けて書いています。
今回は出演者おすすめ番組と平成とテレビについてを書いていきたいと思います。
ドラマについては 、書いたものはこちら。↓
新春TV放談2019を観た内容と感想①2018年人気ドラマについて - テレビ好きぴえーるの日記
バラエティーとテレビへの不満を書いたのはこちら。↓
新春TV放談2019を観た内容と感想②2018年人気バラエティーとテレビへの不満 - テレビ好きぴえーるの日記
おすすめ番組
ヒャダインさん注目番組「かたせ梨乃が進駐軍の前で踊り狂った時代…とマツコ」
これは、日本テレビ系で放送された日本の風俗史をマツコ・デラックスさんや友近さんが「風俗が最も輝いていた時代」をディープに語った番組です。
出演者の皆が絶賛するなか、ヒャダインさんが番組内容について説明されていました。
「テレビという看板があるからこそ出来て、ネット番組だったら許可が得られなかったところを、飛田新地の料亭組合の方々がたぶんOK出して、今まで入ったことのない料亭の中までカメラが入った…。」
そして、ただドキュメンタリーとして放送するのではなくて、ちょっと面白くしてマツコさんがそれを中和していたという番組の作りの面白さについても語っていました。
YOUさんは、マツコさんが映画や歌など、趣味で本当に好きなこと、知ってることがたくさんあり、そういうことを本気で局と組んで実現していくと説明。そんなマツコさんのことを「テレビ界のフィクサー」と呼んでると言って出演者を笑わせてました。
佐久間さんもYOUさんの話を受けて、マツコさんと一緒に番組を作ってて、目線が総合演出だと評していました。
竹山さんはこの番組を見て、NHKの「歴史秘話ヒストリア」のような歴史教育番組のようになっていたと言い、「あった歴史をちゃんと学べた。最高の番組。目をつぶってない。ちゃんとあった歴史に。」と評していました。
テレビ放談では、この番組のプロデューサー鈴木淳一さんに話を聞いたそうです。
「地上波で放送することにはさまざまな意見が出たが、アドバイスを受けながら慎重に作業を進めた。また、飛田新地や「風俗文化史」をひも解く上で必要な用語などは可能な限りそのまま伝えることを意識した。」
という回答でした。
ヒャダインさんはこの姿勢を「茶化しているわけでもなく、人を傷つける目的で行ってるわけでもないですから。」とこの番組で使われた言葉について述べられていました。
竹山さんは鈴木さんと知り合いで、番組放送の翌日が怖いと漏らしていたことを明かしていました。
佐久間さん注目番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」
テレビ東京系の番組で、リベリアの元少年兵やアメリカのギャングなど、“ヤバい奴のヤバい飯”を通して、世界のリアルを知る番組です。
こちらは佐久間さんの後輩の方が作った番組だそうです。佐久間さんはディレクターの取材方法を語っていました。ザンビアの売春婦の仕事後、その報酬で買った食事や、マフィア同士の食事、ギャングの食事を、手と胸と腰にカメラをつけて自分で撮ってくるのだそうです。
この番組を「超絶おもしろい」と評する佐久間さん。危険な取材なので無理をしないようにとは思いつつ、新作を楽しみにしてるんだそうです。
私は話を聞いてるだけでも怖いと思いました。面白いとは思えなかったです…。
竹山さん注目番組「超逆境クイズバトル!!99人の壁」
この番組はフジテレビで土曜夜7時に放送中。俳優佐藤二朗司会の、1人対99人の早押しバトル。自分の好きな得意ジャンルで5問連続正解を目指すものです。
竹山さんは、
この番組は、若いディレクターが担当していて、お年寄りが見なくなるかもしれないけど、そういう番組の方が若い人が見ると思う。と言い、若いディレクターに番組を任せたフジテレビを評価した方がいいと言っていました。
佐久間さんによると、99人分のクイズを作る為に1000問、問題を作っているのだそうです。とんでもない熱量だと絶賛していました。
竹山さんは、司会が俳優の佐藤二朗さんという点も、安パイじゃなくていいと言っていました。
私は、この番組一度だけ見た事あります。今までに見たことない感じのクイズ番組でした。
賞金も大きく、挑戦者を囲む99人の風景はなかなか圧倒されます。挑戦者の好きなジャンルについてのクイズなのに、99人の別の人に答えられたりするのが面白かったです。
芸能人と一般の人が混ざってるのも面白いと思いました。
平成とテレビ
次に、5つのテーマで平成のテレビがどう変わったかを見ていきました。
テレビでどこまで見せる?
佐久間さんが入社した1999年は、まだ局内でたばこを堂々と吸っていた時代だったそうで、テレビ画面でもまだたばこを吸うシーンも女性の乳首も映していたようです。
女性の胸を映したドラマの最後は、佐久間さんによるとテレビ東京系の2009年「湯煙スナイパー」だったとのこと。
ジュニアさんも言ってましたけど、平成の初めごろはまだ、古谷一行さんの2時間ドラマで混浴露天風呂シリーズやってて、女性の胸が出てました。当然のように。
10時をまたぐ時間ぐらいにいつも出てきてたような気がします。火野正平さんも出てて、古谷さんと喜んでたのを覚えてます。
でも、下品とかそういうのより飽きられたのもあったんじゃないかと思いますけどね~。お決まり過ぎて。女だからそう思うんですかね?
次にヒャダインさんが平成で変わった事として、町ブラで一般人が映り込んだ時に顔を加工してみせないようにしていることを指摘していました。
ジュニアさんはせっかく一般のおじさんと面白い絡みが出来て、それを放送したいと思っても、今は字がたくさん書かれた契約書にサインを求められるから、一般の人が嫌がって放送できない事がある例を出していました。
これは隠したいなら隠せばいいじゃないかと思います…。
昨年の夏、猛暑で夕方、テレビ取材の人が駅の通路周辺に立っているのが見えて、ドロドロに汗をかきながら歩いていたし、うっとうしいな、映りたくないなと思いましたよ。
別にこっちを映してなかったんで、自意識過剰でしたが!
バラエティー 大スターの番組が終了
竹山さんは、とんねるずという大スターの番組に出た時、ロケひとつとってもものすごく大掛かりでお金がかかっていたので、楽しかったと言います。
番組にMCはいても、とんでもない大スターがMCという時代が平成と共に終わったと寂しそうに言っていました。
平成30年(2018)とんねるずのみなさんのおかげでした
めちゃ²イケてる!終了
ジュニアさんは若手に「どの番組のレギュラーになりたいか」と質問をして、絶対に出たい番組が今は出てこないと言います。
前は「いいとも!」に出てると言うと銀行の信用が上がり、借りられる額も上がったんだそうです。
私は「いいとも!」はなくなってもそこまで残念ではなかったです。
私は「めちゃイケ」は岡村さんに頼り過ぎてしまってたんじゃないか?と思います。新レギュラー入れるとかになって、あれから面白くなくなっていったと思います。
「ぐるナイ」は生き残ってるのに、「めちゃイケ」がだめになったのは、「ぐるナイ」も最初は岡村さんが何かに挑戦する企画、お見合いとか、岡村さん頼りのコーナーが多かったですけど、ゴチとかでゆっくり徐々にレギュラーが入れ替わって新しくなり、岡村さんなしでも保てるようなかたちになっていたからだと思ってます。
大スターに頼りきりの番組は危ういです。出演者へのプレッシャーが強すぎます。
音楽番組は視聴率がとれない?
ヒャダインさんは、音楽番組が平成で最後の時代だと思ってると言っていました。
昭和は音楽番組が力を持っていて、音楽番組出たら売れるということがあったが、平成最初あたりに「HEY!HEY!HEY!」「うたばん」があったが、だんだん力がなくなり両方終わったことを例に挙げました。
平成22年(2010)うたばん終了
平成24年(2012)HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP終了
今は「ミュージックステーション」と「うたコン」しか思い浮かばないとおっしゃってました。
私の記憶では「HEY!HEY!HEY!」が最初放送された頃は、お笑いを音楽を掛け合わせた実験的な番組と思ってました。ダウンタウンでうまくいったのを見て、TBSが真似して「うたばん」をはじめて、全く同じじゃパクリになるからとんねるずの二人じゃなくて、石橋貴明さんと中居正広さんと組ませて変化をつけたって感じじゃなかったですか??
確かに「HEY!HEY!HEY!」に出て売れたアーティストは多かったですけど、うまく話せないアーティストは弾かれてる感じでした。口下手で曲で勝負してる人たちにしゃべりを要求するのは、酷だなと思ってました。
話を元に戻します。
ヒャダインさんは、特番ではそこそこ見てる人も多いのに、フジテレビの「水曜歌謡祭」みたいにレギュラーでやると全然数字が取れないのが不思議。だと語ってました。
前田さんは「HEY!HEY!HEY!」の時代は、本当は皆多様な趣味なところを1個最大公約数的に番組にしていたのが、今はYouTubeでみんな好きな音楽を聴いていて「集中から分散」が起きていると指摘していました。
私は「HEY!HEY!HEY!」が流行ったのは、ただの音楽番組じゃなかったからだと思います。アーティストがしゃべるのが見たいのもあって見ていたと思います。音楽番組として見るならミュージックフェアの方が良いと思います。
日テレ系の「FAN」も深夜時間帯の30分番組で好きでした。こっちは「FUN」になってから今田耕司さんと藤原紀香さん、松任谷正隆さんが司会になって、「HEY!HEY!HEY!」に影響受けてたと思います。こちらはお笑いの人に女優、アーティストまで加わってました。
なので、この時から既に音楽番組はそれだけでは流行らなくなってきてたんですよ!
だからこそ、勢いのあったダウンタウンやとんねるずなどのバラエティーの力に頼って融合させて、何とか音楽番組として成り立たせていたんだと思います。
ニュースにSNSの動画が!?
ニュース番組で、Twitterの動画など一般の方が撮られた映像を使ったりして、記者が無限にいる状態になっています。竹山さんは実際番組スタッフがTwitterで探している場面を見た事があるそうです。見つけて問い合わせてして使用許可を取っているらしいです。
杉浦アナは事件の被害者の映像を、被害者のSNSからそのままワイドショーなどが流していることに関して、公開しているものではあるものの、グレーゾーンでは?と指摘していました。
ネットで拡散されるいいニュースの出元自体がうそだったりすることもあることもある。と佐久間さんが指摘。フェイクニュースも多いので、見抜き方が難しいとも言っていました。
まぁ、ネット検索して情報が欲しい人にとっては、さも答えかのようにもっともらしく断定した物言いで書かれていたら、本当のことを言ってるんだと勘違いしますよね??
しかもそれが映像付きだとしたら…。説得力はさらに増します。
嘘が見抜けるかどうかはその時のコンディションによっても違いますし。弱ってる時に変な情報掴んでしまったらコロッといくんじゃないですかね~??
動画配信サービスどこまで伸びる?
平成19年(2007)YouTube日本語版が登場
平成23年(2011)Hulu 日本でのサービス開始
amazonプライム・ビデオ日本でのサービス開始
前田さんは、これらのサービスは、スポンサーじゃなくて見てる人がお金を払っているので全く忖度しなくていい。ただ見てる人が面白いかどうかだけに集中できるのがこれらのサービスが廃れることなく続いている理由だと語っていました。
これらのサービスはまだ伸びるのか?
この問いに前田さんは「お客さんが直接課金して見る動画っていう市場はもうちょっと伸びると思います。」と回答。そしてYouTubePremiumは激震を走らせると予測されていました。
YouTubePremiumとは、再生前の広告を見なくて良くなったりするので、お客さんが自分の携帯にダウンロードして見る、という使い方が出来るようになるんだそうです。
それに制作側も合わせていくことになるだろうと言っていました。
佐久間さんは、東京03がYouTubeチャンネルを開設して、そんなにテレビに出てないのに、ライブに来てくれるファンを増やした、いい例を紹介していました。
ネット番組の出演をされている竹山さんは、出る側の意識の違いについて問われて「意外と知らない人多いんだけど、ネット番組やっても作ってるのはテレビ屋さんだったりする。いつも仕事してる人だったりするから、我々は何も変わらない。」と言ってました。
佐久間さんはネット番組を制作する側の意見を言ってました。
「今は過渡期。テレビバラエティーの文法で作ってるネット番組がたくさんある。YouTubeの編集って全然違う。ジャンプカットっていうのを多用してワンカメでどんどん音節も切ってく。そういうような編集のテクニックを使った超面白い芸人が出てくるバラエティーとかが生まれたりすると、また変わるんだと思うんですよ。」
前田さんはその意見を受けて「もう1個あるとしたら、カテゴリーごとに分かれると思ってて、バラエティーはネットの方が強いけど、ニュースはテレビが強い。そういう住み分けが起こるといいなと思います。」と言っていました。
5年後のテレビ
前田さんはまず、テレビはなくなっていかないと思っている。と前置きして、テレビには苦手な事がある。と指摘。
B(Business)向け…企業がターゲット
C(Consumer)向け…お客さんがターゲット
このC向けが苦手だと言っていました。お客さんがお金を払うことがあまりない。
前田さんは「向こう5年はテレビがお客さんとコミュニティーを作って、お客さんがテレビに対してお金を払うような5年間になると思ってます。なぜかというとそこって、今取れてない市場なので、そこを取っていくことによって、テレビの市場落ち込んでるなとか言われてるけど、またそこから復活すると思ってます。」と予測してました。
え?お金を見てる方が払う??
と思ってましたが、この前田さんの話を佐久間さんが補足していて、もう既に日テレの深夜のドラマは最初から舞台化を決めていて、ドラマは一次利用といったようなものが出てきてるそうです。
貴島さんはドラマ制作者の立場の意見を言ってました。
舞台化とかDVDがものすごく売れるものとか、色んなものが出てくるべきで、お金の稼ぎ方も変わった方が自由に色んな事が出来るのでは?言っていました。
しかしテレビのいいところ、誰でも無料でお年寄りから入院してる人も見られるという当たり前のいい部分を、お金だけじゃないところで失わないようにどうやって守っていったらいいのか、意外にすごく難しいと言ってました。
出演者の人が他にも色々意見を言ってましたが、結局テレビはなくならないということで結論付けられていました。そうであって欲しいと思います。
私は貴島さんの意見が一番グッときました。
私も、入院した時の楽しみはやっぱりテレビでした。あの勝手に流れてる感じが、情報を勝手に流してくれる感じが、取り残されてない気持ちにさせてくれたものです。
今年のテレビ放談も面白かったです。
今回初めて前田裕二さんが話すのをしっかり見ましたけど、面白いひとなんですね。納得させられる部分が多かったです。
佐久間さんは話がお上手だなと思いました。
来年のテレビ放談も忘れずに観たいと思っています。
以上、「新春テレビ放談2019」を観た内容と感想でした。