東海テレビ・フジテレビ系列で毎週土曜夜11時台から放送中の池脇千鶴さん主演のドラマ『その女、ジルバ』。3月6日は、第9話が放送されました。
前回、第8話の感想はこちら。↓
おもな登場人物
- 笛吹新:池脇千鶴さん…福島県出身。大手百貨店のアパレル店で販売員として働いていたが、物流倉庫に左遷された。昔結婚直前まで行った恋人が別の若い女性に取られた過去を持つ。40歳の誕生日の日に、一番会いたくない元恋人前園が倉庫から異動してきた上、宝くじにも当たらず「変わりたい!」と思い"40歳以上"のホステス募集の張り紙を見て入ったバーで若者扱いされる。源氏名は「アララ」。
- 浜田スミレ:江口のりこさん…新が働く倉庫の正社員のグループリーダー。倉庫の仕事に誇りを持っている。
- 村木みか:真飛聖さん…新の倉庫の同僚。新と同じ百貨店から出向組。仕事への情熱を失い文句ばかり言っている。前園とは同期入社。前園が女性社員を捨てて若い女性に走ったことを知っており、新に前園に気を付けるよう助言。その捨てられた女性が新とは知らない。
- 前園真琴:山崎樹範さん…新の元カレ。婚約直前で後輩の女性に手を出し妊娠させその女性と結婚し新とは破談。本社から新がいる倉庫に異動してきた。
- 久慈きら子:草笛光子さん…『OLD JACK&ROSE』の2代目ママ。くじらママと呼ばれる。何度も修羅場を乗り越えてきている。
- 大田原真知:中尾ミエさん…『OLD JACK&ROSE』の元ホステス。チーママと呼ばれる。直木賞を受賞した作家だが時々店に顔を出す。
- 七子:久本雅美さん…『OLD JACK&ROSE』のホステス。ナマコと呼ばれる。初代ママ・ジルバに助けられ、恩を感じている。おせっかいの世話好き。
- 菊子:草村礼子さん…『OLD JACK&ROSE』のホステス。ひなぎくと呼ばれる。清純派のアイドル的な人気で、親衛隊がついている。
- 花富屋敷衿子:中田喜子さん…『OLD JACK&ROSE』のホステス。自称59歳でエリーと呼ばれる。恋に生きる女性で、結婚詐欺師に騙されて路頭に迷ったところをジルバに助けられた。
- 蛇ノ目幸吉:品川徹さん…『OLD JACK&ROSE』のマスター。くじらママと共に店を支えてきた。
- ジルバ:池脇千鶴(2役)…『OLD JACK&ROSE』の初代ママ。
- マイカ:華村あすかさん…幸吉の孫。
- 石動良一:水澤紳吾さん…『OLD JACK&ROSE』の常連客。
- JUZO:草地稜之さん…『OLD JACK&ROSE』の常連客。熟女好き大学生。
- 滝口:梅垣義明さん…『OLD JACK&ROSE』の常連客。
- 花山:芋洗坂係長さん…『OLD JACK&ROSE』の常連客。
- 浅山:渡荘太さん…エリーが思いを寄せる『OLD JACK&ROSE』の常連客。
- 白浜峻輔:竹財輝之助さん…父の仕事でブラジルに渡った日本人。ブラジルでジルバの亡くなった夫の兄・賀太郎から話を聞き、ジルバに会いに来た。
第9話のあらすじ
スミレの結婚パーティーの時に突然倒れたくじらママ。
救急に運ばれ色々と検査をしてもらった結果、脳の損傷も骨折もなし。ただの飲み過ぎだったことが分かる。
ただ、腰を強く打ったためしばらくジルバの部屋で静養する事となった。
翌日。
ナマコにエリー、ひなぎくもそれぞれ体を痛めて店に出てこれなくなり、新とマスター二人だけで店を開けることに。
そんな危機に現れたのが、チーママこと作家の大田原真知だった。
さらに、くじらママのお見舞いに来て「殿方にこんな姿は見せられない。」と断られたJUZOをマスターが急遽ボーイとしてスカウト。
マスターの孫娘のマイカも加えた5人でお店を開けることになった。
助っ人として現れたチーママは『OLDじゃなく、NEW JACK&ROSEの誕生!』と言って、大張り切りで店を仕切る。マイカとJUZOでグッと平均年齢も下がり、店が活気づいて大盛り上がり!
滝口さんと花山さんの常連組は、最初こそいつもと違う雰囲気に戸惑っていたが、チーママとマイカ、JUZO3人のダンスが披露されるとすっかり溶け込み盛り上げた。
そんな店が盛り上がる音をジルバの部屋で一人聞いていたくじらママは、チーママに店を乗っ取られるのじゃないか?と苛立ち、さらにチーママが店に来ていても、一度もくじらママに顔をに見せないことにも苛立っていた。
しかし腰が痛くて動けないくじらママ。
スミレちゃんと石動さん夫婦がお見舞いに訪れても、男子禁制でスミレちゃんだけを部屋に入れ、チーママへの愚痴を漏らす。
そして人目もはばからず、コルセットの痛みとかゆみを訴え、食事もとらず。苛立ちを隠さないくじらママに戸惑うスミレと新だった。
お酒が飲みたいと言うくじらママに、マスター少量のワインを差し出す。
くじらママは「思い出すわね、ジルバの最期。」と言い、そして最期何て言っていたのか?とマスターに尋ねる。
「チャウフィカコンデウス。さよなら。全てがうまくいきますように。」
マスターから言葉の意味を知らされたくじらママは、涙を流し「いつか私もああなるのね。」と言う。
「まだまだお迎えは来ねえよ。」と返すマスターに笑顔を見せるくじらママだった。
店の片づけを一緒にしていた新とチーママ。
昼の仕事を辞める決断が出来た新を、大胆だと言うチーママに「自分の気持ちに正直になれたから。」「今まで自分に嘘ついて、自分の気持ち抑えて暮らしてきたから。」と心の内を話す新。
チーママは、自分たち世代が若者に希望の持てない社会にして今も居座ってる状態を謝りながらも、新を見てると安心すると言う。
そして「あなただんだんキレイになってくる。外見だけじゃなく、中身もね。」と言ってくれた。
話はマスターが贈ったジルバのバングルの話へ。
前にナマコが自分だけが知る秘密だと教えてくれていたが、宝石箱にバングルを入れたのはチーママだったことが分かる。
いつかその日が来たら、ジルバとマスターの骨を分骨してブラジルのジルバのご両親の墓に、バングルと一緒に葬って欲しいと託されていたのだという。
「アララ暴いていいのよ。死者の残した形あるものは暴かれる。生きてるものは手を汚すの。そうでないと死者の心残りを遂げてあげられないでしょ。」とも言うチーママ。
新はジルバのバングルを見つめ、いつか来るその時が来ることを考えたくないと思いながらも、いつかブラジルへ…と思うのだった。
その夜。
「誰か助けて!嫌嫌嫌!」とうなされるくじらママ。新は驚いて飛び起き、くじらママに寄り添う。寝起きすぐ、新をジルバと勘違いするくじらママ。
夢を見てうなされていたのだ。
「ごめんなさい。」と泣いて何度も謝るくじらママ。新は幼い少女のように泣きじゃくるくじらママを抱きしめた。
翌日。
新がバラの花を買って店に戻ると、くじらママが起きていて良くなってきたと言う。
くじらママは、新が買ってきたバラを綺麗だと言いつつも、マスターが『東京の花売り娘』という戦後に流行った歌って戦後の花売り娘の話をし出すと、部屋に戻ってしまった。
新が、くじらママにお昼ごはんを持ってきた。
くじらママは新が食事と一緒に持ってきた一輪のバラを見つめ、「私花売り娘をしていた頃を思い出すと苦しいの。」と新に急に話したくなった。と言って話し始めた。
話すことで、もう解き放たれたいと思っていたくじらママ。
ーーー昭和21年。敗戦の翌年。ジルバやマスターを店を始めるずっと前。
15歳になったくじらママは、父が戦地から戻ってくるのをボロボロの小屋で一人待っていて、心も体も飢えていた。
真夜中に雨が降り出して嵐になっていた時、突然バラック小屋の戸が開いて、とっさにやっと父が帰ってきたと思ったくじらママ。
しかし入ってきたのはその界隈を荒らしていたやくざ者。
生きるためにくじらママは花じゃなく、体を売った。
人間扱いされずぼろぎれのようになって、体も心もむしばまれ捨てられる。そんな暮らし、けだもののような扱い。
地獄から這い出すために、ある晩男たちの家に火をつけて裸足のまま走って逃げた。
助けてくれたのはジルバ。
「きら子。辛い過去を忘れて生まれ変わればいい。私は生まれ変わってジルバになった。」とそう言ってジルバは抱きしめてくれた。
ジルバは何も聞かなかった。長いこと一緒に暮らしたのに一度も。
くじらママも、ジルバにマスターに亡くなった夫、息子さん。誰にも話さなかった。
「これは懺悔かしらね。だって私、今まで周りのみんなを騙して…。」と言いかけたじらママに「ママは悪くない!ママは何にも悪くない!ママは悪くない。だから苦しまないで。苦しまないでください。」と返す新。
くじらママは「私、70年間誰かにそう言って欲しかったのかもしれない。ありがとう、アララ。」と言って新を抱きしめ、新も抱きしめ返した。
言葉が見つからない新。
この10年、ふるさと町でたくさんの痛手を見てきて、傷が大きいほど人は自分を責め続ける。そして打ち明け話をしたあとまたその傷が蘇り、辛くなることを知っていた。
ママはもしかしたら過去を知った自分を疎ましく思うかもしれない。
それでもいい。告白を聞くと言うのはそういうことだと覚悟する新だったーー。
翌日。
くじらママが「無理しないとあのまま寝込んじゃう。」と、まだ痛みを残しながらも店に復帰。
くじらママの元気な姿を確認したチーママは「薄情者は退散しますか。」と言って、エリー、ナマコ、ひなぎくを呼んでおいたと言って3人を登場させる。
3人はくじらママの復帰を喜び、大歓迎する。
チーママは、くじらママが元気になるまで店に来てはいけないと、3人を止めていたのだ。
ひなぎくは休んでいる間にヘアアクセサリーをたくさん作り、ナマコはいつでも復帰できるようパウンドケーキを用意していた。
チーママは「心配しなくても乗っ取らないわよ。」とくじらママの肩を叩く。
そして新に、天岩戸作戦をしていたことを明かし「あの人負けず嫌いだからさ、こっちが賑やかなら絶対出てくると思ったんだ。」と耳打ち。
帰ろうとするチーママを呼び止め、くじらママは「真知!あんたの勝ちよ。」と言うと、「センキュー!」と返すチーママ。
そこへ常連客のJUZO、花山さん、滝口さんが入ってきて、ママの復活を喜んだ。
…というお話でした。
くじらママの過去に言葉を失う
前々から、戦中より戦後の話になると険しい表情を浮かべていたくじらママ。
花売り娘の話で逃げていく姿を見て、もしかしたらそうじゃないのかと思っていました。
15歳の少女がそんなことをしなくてはいけなくなるなんて考えただけでも怖くて、一緒に泣きました。
お父さんが帰ってきたと思ったのにヤクザだったなんて、恐ろしくて言葉になりません。
くじらママが夢を見てうなされているシーンで「誰か助けて。」と叫んでるのが恐ろしくて怖くて、見ててもうここから泣きました。
くじらママが、新に必死にしがみついて「ごめんなさい。ごめんなさい。」と謝ってる姿が身に迫ってきて、涙が止まりませんでした。
ママの話になるまでに何度もCMが入って、今からママの過去が明らかになると思うと、待ってるこちらも苦しくなりました。
もしかして…と思っていた話が語られて、やっぱりと思いながら聞いて、血の気が引きました。
何でママがだましたとか思わないといけないのか、懺悔しないといけないとか思わないといけないのか。
誰も守ってくれなかったのだから、仕方がない。
本当に恐ろしい話です。
地獄を見てきたという意味
最初は、腰を痛めてコメディーぽかったのに、最後にドラマ始まってずっと引っかかっていたママの過去の話になって、落差が激しかったです。
くじらママから、これまで地獄を見てきたってワードが何回か出てきていましたが、どういうことなのかやっと分かった気がします。
でも9話の話の最後はちゃんと明るく終わっていて、ホッとしました。
くじらママが、天岩戸作戦にすねる姿もかわいかったです。
ーー地獄を知らない新が、地獄を見た人たちの告白を聞く覚悟を決めた回。
なかなかハードな仕事で、それでも新がやっていけるのか心配ですけど、新がどう変わっていくのか、これからが楽しみです。
次回が最終回!
次回が最終回!
もう最終回???
2020年が始まってコロナも描くのかな?
夜のお店は自粛する展開になっていくはず…。
ドラマの初回冒頭に新が会津に帰ってたし、最後はお店がなくなってしまうのかな?
せっかくお店の専属になる覚悟が決まったのに、どうなってしまうんでしょうか??
色々心配ですが、最後まできっちりと見届けたいと思います。
以上、『その女、ジルバ』第9話を見た感想でした。
『その女、ジルバ』の原作漫画をお探しの方はこちら。↓