「3月のライオン」の実写映画は、2017年の春に公開されました。2019年2月11日に後編がBSプレミアムで放送されていたのを観ましたので感想を書きます。
全体に暗いトーンだった
感想の第一声は「暗かった!」です。
主人公桐山零を神木隆之介さんが演じていた、これは合っていました。零の内面と将棋の世界の厳しさと幸田家の人との関わりが主に描かれていて、苦しみの要素が強く、見ていて辛いものがありました。
残念だったのが、私が一番好きなキャラクター将化部の先輩、野口が出ていないかったことです!!
ひなちゃんの片思いの相手、高橋くんも出てなかったです。。残念でした。
そして私にとってはサブキャラだった、香子(有村架純さん)、後藤(伊藤英明さん)、妻子捨男:川本家の父(伊勢谷友介さん)、幸田(豊川悦司さん)がストーリーのほとんどを占めていて、特に後藤の背景に多くの時間が割かれていました。
エピソード重視
後編では、宗谷(加瀬亮さん)との記念対局。ひなちゃん(清原果那さん)のいじめ問題。後藤と香子の関係。妻子を捨てた川本家の父(伊勢谷友介さん)の問題が描かれました。
原作と細かいところでちょこちょこ違うところがあり、混乱しました。
でも話としてはちゃんとつながっていて、映画だけを観た人には違和感なく見れたんじゃないでしょうか?
原作では、ひなちゃんの問題を長くじっくりと扱っていて、後藤のことは短かったですけど、映画では反対で、ひなちゃんの話が短く、後藤の話が長かったです。
後藤を見せたかったんでしょうか?
役者が伊藤英明さんだったこともあるでしょうね、きっと。香子のことも長く扱ってたし、その相手だから必然的に後藤も長くなったんでしょう…。
映画全体は、原作の印象的なシーンやエピソードをつなぎ合わせている感じでした。実写でやるとどうなんだろう?と思ったシーンを集めてたと思います。
まぁ、10巻以上も続いてる漫画を2時間強で2本にまとめるんだから、全部丁寧に描くわけにはいかないし、仕方ないです。
観る前は、有村架純さんが香子と聞いて、あの優しそうな有村さんと屈折した香子が結び付かず、「大丈夫かな?」と不安に思っていました。
でもちゃんと香子でした。
鋭い目つきも、イヤミな物言いも、原作のイメージ通りで良かったと思います。欲を言えば、もうちょっと零と年齢が離れてる人の方が良かったかな?
川本家と零との関係
妻子捨男を追い払う為、零が色々直接捨男に言うんですけど、このシーンが嫌でした。確かに原作でも零が、捨男のダメなところを指摘して追いつめますけど、激しく罵る言葉がキツくて、観てられませんでした。
それと、罵った後のあかりたちの態度も嫌でした。
この態度が、映画のラストシーンへ向かって行くきっかけになっていくので、インパクトのあるシーンにしたかったんだろうなとは思います。
でもでも、優しい川本家の人たちのイメージが壊されるようで、その川本家を守ろうとした優しい零の気持ちも踏みにじられたような気もして、本当にこの展開は納得のいかないシーンでした。
原作では、こういう零の暴走もちゃんと止めてくれる林田や、冷静に見つめる野口がいて、クスッと笑えるんですが、なんせ映画は時間がないから、こういうフォローシーンがなくて、ただただ辛いまま流れていってました。
でもま、最後の最後は救われてたからいいとするか…。
あと、あかりたちの父への最後の決断の描き方なんですけど、原作では身を引きちがれるような思いで決断するのに、映画でのあかりは強かったです。
もっと原作に近い切なさも描いて欲しかったなぁと思いました。
ラスト
ラストでは、原作より先の未来を描いています。原作にはない対局もあります。最後の最後は観てからのお楽しみです。
映画で貫かれているのは幸田家と零との関係だったので、そこが一番気になってる人にとっては、一つの答えが出されてるので納得かもしれません。
映画が先か?原作が先か?
全く「3月のライオン」を知らない人が、映画を先に観るか原作を先に読むか迷ってらっしゃるなら、映画を先に観た方がいいと思います。
映画を、長い物語の予告編として先に観て、あとで細かいところを原作で読む。という流れがいいと思います。
そうしたらどっちの良さも分かっていいんじゃないかと思います。
対局の時の緊張感は、やはり実写の方が迫力が伝わってきます。パチッという駒音は、将棋のことを何も知らない私でも、聞いていて心地が良いです。
将棋をメインに見たいなら映画。
将棋だけじゃなく、零の成長物語も見たいなら原作。
好みが分かれるんじゃないでしょうか?
私は原作の方が好きです。
以上、映画「3月のライオン 後編」を観た感想でした。
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