NHKで放送中の吉沢亮さん主演の大河ドラマ『青天を衝け』。10月24日に第32回が放送されました。www.nhk.or.jp
前回、第31回の感想はこちら。↓
おもな登場人物
- 渋沢栄一:吉沢亮さん…渋沢家中の家(なかんち)の長男。剛情に自分の意思を通す強さがある。よくしゃべる。成長して商売の面白さを知り意欲的に働く一方で、百姓が武家に虐げられる社会の仕組みに疑問を持ち、世の中を変えたいと考えだす。長七郎から聞く江戸の話を聞いているうち、尊王攘夷の考えに目覚め、喜作も江戸に行った時かされたところで自分も江戸に行きたいと父に願い出て、江戸に出る。江戸で出会った志士たちに影響を受け、攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために喜作と旅立ち、以前知り合った一橋家家臣の平岡のおかげで無事京に入り長七郎に文を送って呼び寄せる。が、長七郎が上京途中で殺人事件を起こして捕らわれ、幕府に攘夷の思いを書いた文が幕府に渡ってしまう。栄一と喜作が上京の際に、平岡の家臣として上京したため幕府から一橋に問い合わせが来て、平岡から改めて一橋に仕官するかどうか?の決断を迫られる。長七郎を助ける手立てが見つかるかもしれないと思い、一橋家の仕官することになった。成一郎と関東へ出張し一橋の兵を集めて来る間に恩人の平岡が水戸浪士に殺害される。同じ頃筑波山で挙兵した水戸天狗党が上洛するという知らせを聞き、征討する慶喜に集めた兵と一緒に随行。成一郎が慶喜の密書を武田耕雲斎に届けたことで天狗党は降伏。征討せずに済む。攘夷運動の終わりを見た成一郎が武士として一橋と慶喜を守ると決断したのとは別に、篤太夫は自分の長所を生かして一橋家の勘定を任せてほしいと慶喜に提言し、受け入れられた。一橋家での自分の進む道が見えはじめた時、将軍家茂が逝去。慶喜が徳川宗家を継ぐことになり、篤太夫は成一郎、伝蔵と共に幕臣となり自暴自棄となる。が、パリ万博へ行くことになった慶喜の弟・昭武に随行することになった。パリでヨーロッパの最新技術に触れ篤太夫は嫌いだった異国から多くを学ぼうとする。大政奉還も2か月遅れて知らせが来て、日本の状況が分からないまま昭武に留学を続けてもらえるかどうか不安を感じながら過ごしていたが、水戸藩主・慶篤の急逝により昭武に水戸藩主の相続の命が下り帰国命令が出たことで帰国することになった。帰国後、見立て養子にしていた平九郎が関東の戦いで命落としたと聞かされ苦悩。旅の雑事を終えたのち故郷血洗島に帰る。次に洋行の報告と昭武の直書を持って駿府で謹慎中の慶喜に会いに行き、そのまま駿河の勘定組頭として出仕。武士と商人が協力して働く商法會所を設立し軌道に乗せる。その後、新政府から大蔵省への仕官の話が来て最初は断るつもりだったが大隈の話に心を打たれ新政府入り。改正掛で次々と新しい制度作りを進めるが大久保利通ににらまれたのち、改正掛を潰された。国立銀行設立の際の商人たちと話しているうちに、三井の番頭・三野村に「徳川の世と同じ。」と言われたことで官より民と感じ、大蔵省を辞める決意をした。
渋沢家・中の家
- 渋沢市郎右衛門:小林薫さん…栄一の父。中の家を立て直すために婿養子に入る。勤勉家で一日中働いている。栄一が幕府批判し出したことを何度も叱る。栄一が家を出る時に認めてくれた。栄一が朝臣となったことを喜び、息子を誇りに思い亡くなる。
- 渋沢ゑい:和久井映見さん…栄一の母。「みんなが嬉しいのが一番」と栄一に教える。
- 渋沢てい:藤野涼子さん…栄一の年の離れた妹。お兄ちゃん子。平九郎と結婚の約束をしていた。
- 吉岡なか:村川絵梨さん…栄一の姉。はっきりとした物言いをする。同じ村の人に嫁ぐ。
渋沢家・新屋敷
- 渋沢よし:成海璃子さん…けんかの仲裁をした喜作に一目惚れし、自ら結婚を申し出る。結婚後は喜作を尻に敷き、栄一と喜作が上京してからは千代を支え夫の留守を守る。
渋沢家:東の家
- 渋沢宗助:平泉成さん…栄一の伯父。東の家の当主。血洗島村の名主として市郎右衛門と共に村をまとめる。
- 渋沢まさ:朝加真由美さん…栄一の伯母。一言多いが根はいい人。
尾高家
- 尾高惇忠(新五郎):田辺誠一さん…栄一の従兄。尾高家の長男。従弟である栄一たちに剣術などを教える。水戸の斉昭の尊王攘夷の考えに傾倒。各地から来る若者らを受け入れて尊王攘夷の考えを広めている。老中安藤を討つ計画に走ろうとしていた弟・長七郎を引き留め、自分の計画に参加するよう説得した。その後、逆に長七郎に自分の計画を命がけで止められる。上京の途中で殺人事件を起こした長七郎を救おうと動いてる。水戸の騒乱に関わりがあると疑われ、岡谷の陣屋に捕らえられる。村の人たちの訴えのおかげで放免された。篤太夫と成一郎が一橋家家臣から幕臣となったことに理解を示し、篤太夫がパリに行くための見立て養子として弟・平九郎を立てたいと申し出てきたことを受け入れた。鳥羽伏見に始まった幕末の戦いを見て、自身も江戸に出て戦に加わり関東の戦いで成一郎となんとか逃げ延び、成一郎が東北に行くのについて行かず故郷に戻る。弟たちの死で新政府を恨んでいた。栄一が「俺の手でこの国を救えるならなんだってやる。」という言葉に自分も新政府で働くことを決意。富岡製糸場の設立に尽力。フランス人講師・ブリュナとの話や地元住民との調整などをし、娘の勇に工女になってもらうことで多くの工女を集めることが出来た。工女たちには学問を教え、女性の社会進出の場を作った。
- 尾高やへ:手塚理美さん…栄一の伯母。惇忠、長七郎、千代、平九郎を育てた母。
- 尾高きせ:手塚真生さん…惇忠の妻。
- 尾高勇:畑芽育さん…惇忠の娘。
水戸
- 吉子(登美宮):原日出子さん…水戸藩の元藩主・斉昭の妻で慶喜の母。公家出身。
- 徳川昭武(民部公子):板垣李光人さん…斉昭の十一男。慶喜の異母弟。清水家の養子となり徳川昭武となる。将軍となった慶喜の代わりにパリ万博へ行き、随行する栄一と特別な絆を結ぶことになる。明治になると慶篤の急逝で水戸藩主になる。
静岡
- 徳川慶喜:草彅剛さん…水戸藩藩主・徳川斉昭の七男で徳川幕府最後の将軍となる。父・斉昭の期待を一身に受け、厳しい教育を施される。一橋家当主の後継が亡くなったことで、老中阿部正弘の推薦で一橋家に養子に入る。刑部卿となった自分を政界に復帰した父・斉昭が頼ってくるが将軍になる望みはないと言い切るが、いざ家茂が将軍となると寂しさを感じる。井伊直弼から隠居を言い渡され邸内の一室に籠る。謹慎中に父斉昭が亡くなり、親不孝をしたと泣いた。井伊大老が亡くなったことで政界復帰。将軍後見職に就き京に入ったが、攘夷ばかり口にする公家や天皇をどう説得すればよい分からない。自分を政界復帰に推してくれた島津久光とは合わない。栄一と出会ったことで徳川を守ると覚悟を決め、薩摩の政治介入を阻止しようと、中川宮の前で久光、春嶽、伊達を「天下の大愚物」と言って朝議参与を解散させてしまう。その後禁裏御守衛総督となる。家茂逝去で徳川宗家を継ぎ、家茂に代わり長州征伐をしたが敗戦の色が濃くなると退却。孝明天皇の強い願いに応え、征夷大将軍となる。パリ万博に派遣する弟の昭武の一行に篤太夫(栄一)を加えた。大政奉還をして朝廷に政権を返上。朝敵のみなされ大坂城を出て江戸に戻り上野の寛永寺で謹慎。のち水戸から駿府へ移る。静岡で趣味に生きることになる。
- 猪飼勝三郎:遠山俊也さん…慶喜の家臣。
- 川村恵十郎:波岡一喜さん…一橋家の家臣ののち幕臣となり、明治以降は駿府へ。
- 大久保一翁:木場勝己さん…駿府藩中老。
- 向山一履:岡森諦さん…外国奉行。パリ使節団の全権大使。借款交渉の失敗で帰国。維新後は駿府へ。
- 田辺太一:山中聡さん…パリへの派遣使節に随行。維新後、静岡に身を寄せたのち新政府に入り岩倉使節団にも随行し補佐することになる。
- 平岡準:大竹直さん…駿府藩士。
- 萩原四郎兵衛:田中要次さん…駿府の茶問屋。
- 徳川美賀子:川栄李奈さん…慶喜の正室。慶喜が謹慎が解かれたのち静岡に移り、側室と共に同居することになる。
- 須磨:安部智凛さん…美賀子の侍女。
新政府
- 岩倉具視:山内圭哉さん…公武合体のメリットを孝明天皇に説く。政争に負け浪人生活。政界に復帰したのちは薩摩の人たちと王権復古を遂げ、そのまま新政府に入る。
- 三条実美:金井勇太さん…攘夷志士たちに押され、幕府に攘夷せよと言う。明治以降は新政府に入る。
- 明治天皇(睦仁親王):犬飼直紀さん…
- 井上聞多(馨):福士誠治さん…尊王攘夷派の長州藩士だったが、伊藤俊輔らとロンドンに渡り開国派に。維新後は大蔵省に入り、栄一はその右腕となる。
- 伊藤俊輔(博文):山崎育三郎さん…長州藩士。のち初代首相となる。
- 西郷吉之助(隆盛):博多華丸さん…薩摩藩士。公武合体実現のため、流罪を赦免されて藩政復帰。一橋
- 家の命で大坂に来ていた栄一と出会う。策を巡らせ倒幕へと突き進む。
- 大久保一蔵(利通):石丸幹二さん…久光の側近として公武合体のために上京。腹の内が読めない慶喜を警戒。明治の新政府では大蔵卿となり、部下となる栄一と意見が対立する。
- 大隈重信:大倉孝二さん…佐賀藩士族。明治2年新政府で大蔵省の実質トップに就任。栄一を新政府に誘う。
- 大隈綾子:朝倉あきさん…大隈重信の妻。
- 杉浦愛蔵(譲):志尊淳さん…外国奉行支配調役。徳川昭武のパリ派遣随行員の一人。栄一と親交を深めて維新後は静岡に行き、のちに栄一が明治政府で栄一が立ち上げた民部省改正掛の一員となる。
- 前島来輔(密):三浦誠己さん…遠州中泉奉行。元幕臣たちの働き口や住まいを与えようと奔走。栄一の要請で新政府に入り近代的な郵便制度を確立。日本郵政の父となる。
- 赤松則良:上村海成さん…元幕臣。造船の父となる。
- 玉乃世履:高木渉さん…岩国藩出身。改正掛で旧幕臣の栄一に反発していた。のち司法官となる。
- 江藤新平:増田修一朗さん…元佐賀藩士。司法卿。
- 渋沢千代:橋本愛さん…栄一の従妹で惇忠、長七郎の妹。栄一の妻。口数少なく控えめだが芯は強い。
- 渋沢うた:山崎千聖さん…栄一の長女。
- 渋沢こと:吉川さくらさん…栄一の二女。
- 大内くに:仁村紗和さん…栄一が大阪出張で出会った女性。栄一の子を出産することになる。
- 須永伝蔵:萩原護さん…中の家の作男で、栄一らと共に勉学や武芸を学ぶ仲。のちに一橋家の家臣となった栄一と喜作に呼ばれ、一橋家家臣となる。慶喜が徳川宗家を継ぐのに伴って幕臣となった。関東の戦いに従軍したのち箱館には行かず江戸に留まりフランス帰りの栄一を迎えた。以来栄一と行動を共にする。
- 渋沢喜作:高良健吾さん…栄一の2歳年上の従兄で幼馴染。渋沢一族「新屋敷」の長男。千代との結婚を望んでいたが、千代と栄一が思い合ってると知り身を引き、自分はよしと結婚。江戸に出て尊王攘夷の考えに触れ攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために栄一と京へ旅立つ。栄一共に一橋家に仕官する。上洛しようとする水戸天狗党に慶喜の密書を届けに越前に行った時に、天狗党の軍が疲弊しているのを目の当たりして攘夷運動の成れの果てを見たとショックを受け、これからは一橋と慶喜を守るために生きると決断する。朝敵とされた慶喜の汚名を雪ぐため戦うことに。京から大坂、江戸武蔵、箱館へと転戦。箱館の戦で土方に生きろと背中を押され逃げ延び、2年半投獄されていた。名前を「喜作」に戻し栄一の推薦で新政府に入る。
商人
- 五代才助(友厚):ディーン・フジオカさん…薩摩藩士。長崎遊学の経験から世界情勢に精通。貿易による富国強兵を唱えてイギリスに留学中、フランス万博の情報をいち早く得て薩摩藩として参加を実現。幕府の威信を落とす。この時幕府側として参加していた栄一とは、のちに「西の五代、東の渋沢」と呼ばれる実業家となる。
- 三野村利左衛門:イッセー尾形さん…三井の番頭。
- 岩崎弥太郎:中村芝翫さん…土佐出身。三菱商会を創業。
第32回のあらすじ
大蔵省を辞めると決めた栄一は、新政府に誘った杉浦(志尊淳さん)に謝った。
杉浦は栄一の苦しむ様子に気付いておりさほど驚くこともなく「僕はここで日本のために尽くす。」と新政府に残る思いを語り、新政府に呼んでくれた栄一に感謝していると言ってくれた。
二人はパリや新政府で働いた日々を振り返り、握手をして別れた。
一方。文部省や司法省と揉めて、大隈(大倉孝二さん)に仲裁を断られた大蔵大輔の井上馨(福士誠治さん)も大蔵省を辞めた。
玉乃(高木渉さん)や三条(金井勇太さん)は「おぬしはその才識を卑しい金儲けのために使うつもりか?」と慰留したが、栄一はその役人が偉くて商人が卑しいという考えこそ江戸の身分制度と同じ。なくしていきたいと言い、去っていった。
井上と栄一は、新聞に「今日の開化は民力を重んじるものではなく、政治上の空想に過ぎない。」と言い、急な財政改革で1億4千万の負債があることを暴露。
民の税で賄おうとしていることまで明かし、司法卿の江藤新平(増田修一朗さん)は国家の内情を漏らしたと大激怒。大隈も静かに怒りを募らせた。
栄一は新聞掲載記事について咎められ罰金を払い、なんとか政府を辞めることが出来た。
そんな時、栄一の自宅に三野村(イッセー尾形)が訪れ、政府を辞めた栄一が自分の後任として三井に入ると考え勝手に推薦し、反物を千代や娘たち、さらには妾のくにまでお祝いの品だと言って押し付けてきた。
三野村の勝手な振る舞いに栄一は激怒。全力で三井入社を否定した。
栄一は日本の基盤となる合本銀行を作りたいのだと説明し、三野村は「合本」と繰り返す栄一に呆れ「これからは商売敵ですな。」とはねつけ「敵となろうがはたまた味方になろうが容赦いたしませんぞ。」と挑戦的な言葉を残していった。
明治6年(1873)。民間資本による日本初の銀行である第一国立銀行が開業。
総監役となった栄一は、三井や小野から集まった職員たちに西洋式の帳面のつけ方・簿記をつけるよう指導。
紙幣頭附属書記官のアラン・シャンドがまず、簿記に算盤は必要ない、西洋式の筆算を教えようとする。が、栄一が算盤は優秀だと抗議。西洋式の筆算と日本の算盤とで計算の勝負をすることになった。
勝負の結果、算盤での計算が栄一が数字を読み上げ佐々木という行員が算盤をはじくという二人がかりでの計算ではあったが正確で速いことが分かり、簿記に算盤を使うことが認めさせた。
開業したばかりの第一国立銀行に五代友厚(ディーン・フジオカさん)が訪ねてきた。
栄一は、まだ銀行の仕組みがうまく知られておらずまだまだぐちゃぐちゃな状態だと愚痴をこぼす。さらには行員となった三井と小野の人間が張り合ってばかりで、行員同士の仲もよくなかった。
栄一はパリで水戸侍や外国奉行、パリ人の仲介ばかりやっていた頃と同じだと笑い、総監役の自分の役割を笑って話した。
五代は「そげんして手を結ばすっこつがまさにカンパニーじゃ。」と言い、自分自身も、西で同志を集め鉱山の商いをするカンパニーを興したと言う。
そして先に官から民へ下った者として栄一に「政府は厄介な獣の集まりじゃったが、商いの方はまさに化け物。魑魅魍魎が跋扈している。」とアドバイスした。
栄一と五代が話しているのと同じ頃。
三菱商会の岩崎弥太郎(中村芝翫さん)は「いくら西洋風に改革を急いでも、形ばっかりで民の意識が変わらなければ国は弱るばかり。」と考えていた。
政府を批判して辞めた栄一と井上の新聞記事を読んで「元居た場所をけなして辞めるとは一文の得もない。まさに"立つ鳥跡を濁しまくり"」と笑って大隈に近づく機会を狙っていた。
体が弱っていた栄一の母・ゑいが、なかに連れられて栄一の自宅にやってきた。
なかは同じ家で暮らす妾のくにとその娘のふみに対して複雑な思いを抱いていたが、ゑいは孫を大事に思っており、かわいがっていた。
なかは身重のていや自分の家も商いをしていて面倒を見れないため、栄一の家で世話をするようゑいを連れてきていた。
なかはくにが家にいることで栄一の尻を叩き、千代も分かってくれてると口答えする栄一に「分かるしかねえから飲み込んでいるだけだに。んなことも分かんねえのかい?」と𠮟り飛ばす。
そしてゑいも心痛めていると言い孝行するよう釘を刺し、千代にも。と念を押した。
ゑいは千代に、千代の子もくにの子もみんなかわいいと思っていることを明かし、どの子も無事に育ってほしいと思ってると言い、千代が嫁に来てからずっと苦労かけていると謝った。
千代は結婚当初は不安ばかりだったと振り返り、栄一の生死すら分からず帰って来るかどうかも分からない当時を思えば、今は働いても必ず帰ってきて子供達にも恵まれていると苦労はないと返した。
ゑいは千代にお礼を言い、何度も謝った。
喜作がイタリアから帰国。大蔵省に寄ったものの栄一がおらず、第一国立銀行に栄一を訪ねてやってきた。
政府は江藤と西郷も辞め、大久保と岩倉の天下になっている状態。自分も政府を辞めると言う喜作に、手伝ってほしいと言う栄一。
しかし喜作は横浜で生糸の商いをすると言って断った。
生糸といえば、富岡の生糸がウィーンの万博で二等進歩賞を受賞。各地から製糸場で地元の産業を興したいと視察する者が集まってきていた。
栄一は富岡と静岡に行きたいと喜作に話し、慶喜に近況報告するのと徳川宗家の懐事情も知りたいため静岡に一緒に行こうと喜作を誘った。
しかし喜作は、慶喜が望まなかったのに戦いを続けてしまい直参を死なせてしまったことで合わせる顔がないと断った。
静岡では、平岡円四郎の妻・やす(木村佳乃さん)が慶喜に会って話したいと押しかけていた。
しかし旧幕臣でも会えていないと断り続けられており、猪飼(遠山俊也さん)も慶喜の妻・美賀子(川栄李奈さん)に話しかけようとするやすに警戒心をあらわにしていた。
が、やすは円四郎から美賀子のことを「おかしれえお姫様」と聞いており、美賀子に会えたことで勝手に親近感を抱いて引き下がった。
一方。ゑいと話していた栄一は、政府を辞めたことを残念がるゑいに「役人は上役の手足になるっきりねえが、商人はこの腕で勝負ができる。こっちの方がよほどやりがいがあらあ。」と話し、納得させていた。
そして銀行の券を見せ、いずれ日本で印刷して紙幣を作っていきたいと語る。
皆便利になる。皆が幸せになる。という栄一の言葉に楽しみだというゑいだったが「近くにいる者も大事にすんの忘れちゃいけねえよ。」と釘をさす。
そこへうたが現れ、学校に皇后が来て学習の見学をしていったことを話す。
皇后は自らお蚕様に桑の葉をくれていて、栄一は幼い頃母たちが歌を歌いながら育てていたと話すと驚いていたという。
ゑいは一番大声で歌っていたのは栄一だと言い、歌い出した。するとうたも千代も栄一も一緒に歌い出し、大いに盛り上がった。
その後ゑいの体調が悪化。医者が家族を呼ぶように言うと、千代はくにと娘のふみを部屋に呼んだ。
そしてゑいの臨終を家族で見守った。
その年は、岩倉具視暗殺未遂事件や江藤新平の佐賀の乱など不平士族が不穏な動きを見せていた。
大久保利通は士族の不満をそらすため、台湾への出兵はやむを得ないと大隈に言う。
大隈は、台湾に向かう船を出すのに積極的でない三井や小野より、政府の言うことを素直に聞く商人が欲しいと言う。
そして台湾への兵と物資を輸送を、岩崎弥太郎の三菱に命じたのだった。
…というお話でした。
『あさが来た』とつながってきた
政府を辞めて第一国立銀行の総監役になった栄一に、五代友厚が訪ねて来てくれていました。
五代は西で同志を集めて鉱山の商いをするカンパニーを作ったと言っていましたが、『あさが来た』でもその話は出ていましたよね。
五代様がやる商いに影響を受けてあさも鉱山を買ったりして、女性の商売人として成長していっていましたが、ドラマの話がつながりました!!
『青天を衝け』にあさが出てくることもあるんでしょうか?
確か日本女子大学をつくるのに三宅裕司さん演じる渋沢栄一と、あさが会うシーンがあったと記憶してるんですが…。
五代様が出てきたんだからあさも…と期待は高まります。
まぁ『あさが来た』のあさは実在の人とは名前も違う名前だったし、あくまで実在の人物をモデルにしたお話でしたから、出ない可能性の方が高いですね…。
お姉ちゃんが強い!
お母さんが弱って来て、世話をするようにと連れてきたお姉さんのなか。
お妾さんが普通に家の中にいて生活してることにかなりお怒りの様子でしたが、お妾さんに直接言うんじゃなくて、栄一に叱りつけているのがよかったです。
こういう時って、ドラマでは女の人は女の人を責めがちですけど、なかさんは「分かるしかねえから飲み込んでいるだけだに。んなことも分かんねえのかい?」って千代の言葉通り受け止めるなと釘を刺していたのがスッキリと気持ちよかったです。
千代とくには直接会っていても修羅場にならなかったし、喜作の嫁さんのよしさんでは踏み込んでよその家庭の事を言えないし、お母さんは孫がいっぱいいて嬉しいし。
ここは栄一のお姉さんしか栄一に一言物申すことが出来ないですよね!!
視聴者の言いたいことを代わりに行ってくれて嬉しかったし、面白かったです。
橋本愛さんが演じる妻
結婚しても自分を一人残して家を出ていくし、子供が出来てもまた出ていくし、私なら婚家にい続けられないだろうなと思います。
2018年の大河ドラマ『西郷どん』でも1番目の奥さんは西郷が家を出ていって、婚家に1人残されて西郷のきょうだいの世話をしていましたが、その奥さんは実家に戻ってしまってました。
その時の西郷の1番目の奥さん役も橋本愛さん。
西郷の妻の時は実家に戻りましたが、渋沢の妻では実家に戻らず家に残って家を守っていました。
西郷の妻の場合は、西郷の家族が次々と亡くなって稼ぎがなくなり、生活がどんどん追い込まれて行ってたこともありましたから…。
渋沢の家は豪農で、生活に本当に困るってことはなかったでしょうし、何より渋沢の義両親が本当にいい人たちだったから、家に残ることが出来たってこともあるんでしょう…。
千代が栄一の子を身ごもったくにさんを受け入れられたのも、栄一の両親に大事にしてもらったから、その義両親の孫となる子を産んでくれる人を大事に出来たのでは?
でも…頭で理解しても実際に行動できる人ってなかなかいないですよね。
千代さんが立派過ぎて、自分の心の狭さを情けなく思います。
時代が妾を許す時代だったから…で済むことでしょうか?
本当に懐が深い人だったんだろうな…と想像します。
立つ鳥跡を濁しまくり
今回、中村芝翫さん演じる岩崎弥太郎が初登場!!
栄一と井上が政府を批判した新聞記事を読んで「元居た場所をけなして辞めるとは一文の得もない。まさに"立つ鳥跡を濁しまくり"」と言っているのを見て、私も笑いました。
私は何回も転職しているので前の職場の文句を言いたいのはよくわかりますが、新聞とか公の場で言うのはだめじゃないか?と思いました。
自分が辞めたことを正当化したい気持ちはあっても、またその前の職場の人に世話になるかもしれないから黙っておいた方がいいのに!
私も転職するたびに「立つ鳥跡を濁さず」を心がけて、同僚には文句を言いますが上の人には文句を言わず嫌な気持ちを残さずに去る努力をしてます。
だから、今回の栄一のこの新聞の話はちょっと信じられなかったです。
こんなことしたら、元同僚にも嫌われますよね。
元仲間を敵に回して得することなんて1つもない。
岩崎弥太郎の言う通り!!
こんなことして辞めた人が大事業家になっていくんですか?
嫌われて商売なんてうまくいく?
こんな関わった場所の悪口を公の場で言うような人から、物を買いたいと思う?
これはなかなか厳しいスタートじゃないか?と思いました。
まぁでも、渋沢栄一って大事業家になるんですよね?
どんな事業家になるのか気になります。
以上、『青天を衝け』第32回の感想でした。
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