NHKで放送中の吉沢亮さん主演の大河ドラマ『青天を衝け』。6月20日に第19回が放送されました。www.nhk.or.jp
前回、第18回の感想はこちら。↓
おもな登場人物
- 渋沢栄一(篤太夫):吉沢亮さん…渋沢家中の家(なかんち)の長男。剛情に自分の意思を通す強さがある。よくしゃべる。成長して商売の面白さを知り意欲的に働く一方で、百姓が武家に虐げられる社会の仕組みに疑問を持ち、世の中を変えたいと考えだす。長七郎から聞く江戸の話を聞いているうち、尊王攘夷の考えに目覚め、喜作も江戸に行った時かされたところで自分も江戸に行きたいと父に願い出て、江戸に出る。江戸で出会った志士たちに影響を受け、攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために喜作と旅立ち、以前知り合った一橋家家臣の平岡のおかげで無事京に入り長七郎に文を送って呼び寄せる。が、長七郎が上京途中で殺人事件を起こして捕らわれ、幕府に攘夷の思いを書いた文が幕府に渡ってしまう。栄一と喜作が上京の際に、平岡の家臣として上京したため幕府から一橋に問い合わせが来て、平岡から改めて一橋に仕官するかどうか?の決断を迫られる。長七郎を助ける手立てが見つかるかもしれないと思い、一橋家の仕官することになった。成一郎と関東へ出張し一橋の兵を集めて来る間に恩人の平岡が水戸浪士に殺害される。同じ頃筑波山で挙兵した水戸天狗党が上洛するという知らせを聞き、征討する慶喜に集めた兵と一緒に随行。成一郎が慶喜の密書を武田耕雲斎に届けたことで天狗党は降伏。征討せずに済む。攘夷運動の終わりを見た成一郎が武士として一橋と慶喜を守ると決断したのとは別に、篤太夫は自分の長所を生かして一橋家の勘定を任せてほしいと慶喜に提言し、受け入れられた。
渋沢家・中の家
- 渋沢市郎右衛門:小林薫さん…栄一の父。中の家を立て直すために婿養子に入る。勤勉家で一日中働いている。栄一が幕府批判し出したことを何度も叱る。
- 渋沢ゑい:和久井映見さん…栄一の母。「みんなが嬉しいのが一番」と栄一に教える。
- 渋沢千代:橋本愛さん…栄一の従妹で惇忠、長七郎の妹。栄一の妻。口数少なく控えめだが芯は強い。
- 吉岡なか:村川絵梨さん…栄一の姉。はっきりとした物言いをする。同じ村の人に嫁ぐ。
- 渋沢てい:藤野涼子さん…栄一の年の離れた妹。お兄ちゃん子。
渋沢家・新屋敷
- 渋沢よし:成海璃子さん…けんかの仲裁をした喜作に一目惚れし、自ら結婚を申し出る。結婚後は喜作を尻に敷き、栄一と喜作が上京してからは千代を支え夫の留守を守る。
渋沢家:東の家
- 渋沢宗助:平泉成さん…栄一の伯父。東の家の当主。血洗島村の名主として市郎右衛門と共に村をまとめる。
- 渋沢まさ:朝加真由美さん…栄一の伯母。一言多いが根はいい人。
尾高家
- 尾高惇忠(新五郎):田辺誠一さん…栄一の従兄。尾高家の長男。従弟である栄一たちに剣術などを教える。水戸の斉昭の尊王攘夷の考えに傾倒。各地から来る若者らを受け入れて尊王攘夷の考えを広めている。老中安藤を討つ計画に走ろうとしていた弟・長七郎を引き留め、自分の計画に参加するよう説得した。その後、逆に長七郎に自分の計画を命がけで止められる。上京の途中で殺人事件を起こした長七郎を救おうと動いてる。水戸の騒乱に関わりがあると疑われ、岡谷の陣屋に捕らえられる。
- 尾高やへ:手塚理美さん…栄一の伯母。惇忠、長七郎、千代、平九郎を育てた母。
- 尾高長七郎:満島真之介さん…栄一の従兄。神道無念流の剣豪として名をはせるようになっていく。剣術修業しに来た真田に誘われ江戸に行き、尊王攘夷を掲げる若者たちと交流する。志士の河野と共に坂下門外の変に加わるつもりだったが、惇忠の説得により断念。上州に逃れたのち京へ逃れていたが故郷に帰ってきて惇忠らが立てた横濱焼き討ち計画を知り、命がけで中止させた。以後、情緒が安定しない様子。上京した栄一からの文で上京する際、気の迷いから人を斬ってしまい、幕府に捕らえられる。
- 尾高平九郎:岡田健史さん…栄一の従弟。
- 尾高きせ:手塚真生さん…惇忠の妻。
- 尾高勇:和田葵さん…惇忠の娘。
一橋家
- 徳川慶喜:草彅剛さん…水戸藩藩主・徳川斉昭の七男で徳川幕府最後の将軍となる。父・斉昭の期待を一身に受け、厳しい教育を施される。一橋家当主の後継が亡くなったことで、老中阿部正弘の推薦で一橋家に養子に入る。刑部卿となった自分を政界に復帰した父・斉昭が頼ってくるが将軍になる望みはないと言い切るが、いざ家茂が将軍となると寂しさを感じる。井伊直弼から隠居を言い渡され邸内の一室に籠る。謹慎中に父斉昭が亡くなり、親不孝をしたと泣いた。井伊大老が亡くなったことで政界復帰。将軍後見職に就き京に入ったが、攘夷ばかり口にする公家や天皇をどう説得すればよい分からない。自分を政界復帰に推してくれた島津久光とは合わない。栄一と出会ったことで徳川を守ると覚悟を決め、薩摩の政治介入を阻止しようと、中川宮の前で久光、春嶽、伊達を「天下の大愚物」と言って朝議参与を解散させてしまう。
- 美賀君:川栄李奈さん…慶喜の正室。気性が激しい一面がある。
- 徳信院:美村里江さん…一橋家当主・徳川慶寿の正室となるが死別。徳信院と名乗る。慶寿の後継が亡くなり、養子に来た慶喜にとっては養祖母となる。
- 中根長十郎:長谷川公彦さん…慶喜の側用人。
- 平岡円四郎:堤真一さん…慶喜の側近。安政の大獄で甲府にやられたのち、一橋家に戻りたいと懇願。慶喜のもとに戻る。その後、川村が見つけてきた栄一と喜作を一橋家の家臣にスカウト。一度は断られたが、長七郎の事件をきっかけに再び誘い、一橋家に仕官させた。黒川と共に政で慶喜が有利になるよう働く。池田屋事件をきっかけに尊攘派弾圧をする慶喜をたぶらかす存在と恨まれ、水戸浪士に命を奪われる。
- 平岡やす:木村佳乃さん…円四郎の妻。
- よね:高野渚さん…平岡家で働く女性。
- 川村恵十郎:波岡一喜さん…一橋家の家臣。
- 猪飼勝三郎:遠山俊也さん…代々続く一橋家家臣。
- 黒川嘉兵衛:みのすけさん…慶喜の側近。平岡と一緒に慶喜が公家たちに動く。
- 原市之進:尾上寛之さん…慶喜の側近。
- 渋沢喜作(成一郎):高良健吾さん…栄一の2歳年上の従兄で幼馴染。渋沢一族「新屋敷」の長男。千代との結婚を望んでいたが、千代と栄一が思い合ってると知り身を引き、自分はよしと結婚。江戸に出て尊王攘夷の考えに触れ攘夷志士となる。惇忠が立てた横濱焼き討ち計画を長七郎に命がけで止められ中止。八州廻りから逃れるために栄一と京へ旅立つ。栄一共に一橋家に仕官する。上洛しようとする水戸天狗党に慶喜の密書を届けに越前に行った時に、天狗党の軍が疲弊しているのを目の当たりして攘夷運動の成れの果てを見たとショックを受け、これからは一橋と慶喜を守るために生きると決断する。
- 伝蔵:萩原護さん…中の家の作男で、栄一らと共に勉学や武芸を学ぶ仲。のちに一橋家の家臣となった栄一と喜作に呼ばれ、一橋家家臣となる。
水戸藩
- 吉子(登美宮):原日出子さん…水戸藩の元藩主・斉昭の妻で慶喜の母。公家出身。
- 徳川慶篤:中島歩さん…斉昭の跡を継いだ水戸藩藩主。慶喜の兄。
- 武田耕雲斎:津田寛治さん…水戸藩の元家老。尊王攘夷派の水戸藩士。天狗党の乱を押さえる立場だったが、小四郎に懇願され総大将の立場に。悲惨な最期を遂げる。
- 藤田小四郎:藤原季節さん…東湖の息子。のちに天狗党の乱を起こし敗れる。
- 市川三左衛門:神農直隆さん…諸生党。天狗党討伐に名乗り出る。
- 鳥居頼兵衛:小林幸彦さん…天狗党の乱では水戸赴き戦う。
- 榊原新左衛門:岡雅史さん…水戸藩家老。
- 松平昭徳:板垣李光人さん…斉昭の十一男。慶喜の異母弟。将軍となった慶喜の代わりにパリ万博へ行き、随行する栄一と特別な絆を結ぶことになる。明治なると慶篤の急逝で水戸藩主になる。
江戸幕府
- 徳川家茂(慶福):磯村勇斗さん…家定が次期将軍にと決めた14代将軍。
- 天璋院:上白石萌音さん…家定の正室。薩摩藩主島津斉彬の養女として慶喜を将軍後継にする密命を持っていた。家定の急逝で天璋院と名乗る。
- 歌橋:峯村リエさん…家定の乳母。家定から信頼が厚く、慶喜を後継にするのを反対し、紀州藩の慶福を推す。
- 和宮:深川麻衣さん…公武合体の政策で14代将軍家茂に嫁いだ。
- 川路聖謨:平田満さん…勘定奉行。師と慕う人の息子・平岡円四郎を慶喜の側近に推薦する。将軍継嗣問題で敗れ、西丸留守居役を命じられる。その後また外国奉行に復帰。
- 永井尚志:中村靖日さん…ペリー来航後海防掛となる。海防参与となった徳川斉昭の過激さに振り回される。将軍継嗣問題で処分される。その後大目付となり慶喜を支える立場となる。
- 土方歳三:町田啓太さん…新撰組副長。栄一とはある任務で一緒になり、同じ百姓出身と言うこともあり意気投合。鳥羽伏見の戦いで敗れた後、各地へ転戦したのち、榎本武揚や喜作と共に箱館に渡り五稜郭を占領。新政府軍と戦って壮絶な戦死をする。
- 栗本鋤雲:池内万作さん…奥医師から蝦夷地へ左選され、箱館奉行組頭となり功績が認められ目付となり、さらに外国奉行になる。
- 阿部正外:眼鏡太郎さん…老中。
- 小栗忠順:武田真治さん…勘定奉行。幕府の戦力増強を図る。フランスとコンパニー設立を目指す。
- 田沼意尊:田中美央さん…天狗党征討総督。降伏していた天狗党を斬首にした。
- 柴田剛中:江端英久さん…
- 板倉勝静:永井秀樹さん…
朝廷
- 孝明天皇:尾上右近さん…幕府より攘夷を訴える水戸を頼りにする。和宮を嫁がせる事で幕府に攘夷を要求する。
- 中川宮:奥田洋平さん…
- 岩倉具視:山内圭哉さん…公武合体のメリットを孝明天皇に説く。政争に負け浪人生活。
- 三条実美:金井勇太さん…攘夷志士たちに押され、幕府に攘夷せよと言う。
- 二条斉敬:森敬一朗さん
- 正親町三条実愛:置鮎龍太郎さん…薩摩寄りの公家。
- 准后夙子:辻本みず希さん
- 祐宮:柴崎涼吏さん
長州藩
- 井上聞多(馨):福士誠治さん…尊王攘夷派の長州藩士だったが、伊藤俊輔らとロンドンに渡り開国派に。維新後は大蔵省に入り、栄一はその右腕となる。
- 伊藤俊輔(博文):山崎育三郎さん…長州藩士。
薩摩藩
- 島津久光:池田成志さん…薩摩藩の国父。公武合体を成すため軍を率いて上洛。雄藩による政治参画を実現するため「参与会議」を発足。慶喜とは横濱鎖港の件で対立する。政治の裏工作をことごとく一橋に潰され、次第に徳川打倒へと考えを変えていく。
- 西郷吉之助(隆盛):博多華丸さん…薩摩藩士。公武合体実現のため、流罪を赦免されて藩政復帰。一橋家の命で大坂に来ていた栄一と出会う。
- 大久保一蔵(利通):石丸幹二さん…久光の側近として公武合体のために上京。腹の内が読めない慶喜を警戒。明治の新政府では大蔵卿となり、部下となる栄一と意見が対立する。
- 五代才助(友厚):ディーン・フジオカさん…薩摩藩士。長崎遊学の経験から世界情勢に精通。貿易による富国強兵を唱えてイギリスに留学中、フランス万博の情報をいち早く得て薩摩藩として参加を実現。幕府の威信を落とす。この時幕府側として参加していた栄一とは、のちに「西の五代、東の渋沢」と呼ばれる実業家となる。
- 川村純義:日向丈さん…
- 新納刑部:藤井宏之さん…薩摩藩士。
諸藩
- 松平春嶽:要潤さん…前福井藩主。慶喜の優秀さを見抜き、将軍後継に推すために奔走したが敗れ、井伊に隠居、謹慎を命じられたのち、政界復帰。
- 伊達宗城:菅原大吉さん…第8代宇和島藩主。将軍継嗣問題で慶喜を推して隠居謹慎に処されたが、久光の公武合体運動で政界復帰。朝議参与に任命される。久光や春嶽と共に開国を唱え、慶喜と対立。
- 山内容堂:水上竜士さん…第15代土佐藩主。将軍継嗣問題で慶喜を推して隠居謹慎に処されたが、のちに朝議参与に任命される。慶喜に大政奉還を建白する。
- 松平容保:小日向星一さん…会津藩主。幕府から命じられて攘夷派が多くいる京の治安維持のため、病をおして上京。京都守護職に就く。市中警護のため浪士隊「新選組」は容保のもとで活躍。
- 松平定敬:小日向春平さん…桑名藩主。同い年だった家茂からの信頼され、家元と共に上洛。京都所司代となり、兄・容保共に京の警護にあたる。
海外
- アーネスト・サトウ:カイル・カードさん…イギリスの通訳。
- ハリー・パークス:イアン・ムーアさん…イギリス公使。
その他
- 多呂作:土平ドンペイさん…播磨一橋領の領民。
- 崎玉清兵衛:国木田かっぱさん…
- 治郎作:平田理さん…
- 三郎作:鈴木康平さん…
第19回のあらすじ
篤太夫は、一橋家の懐を豊かにするために動き出す。
まずは大阪で一橋領の米の出来が良いことに目をつけ、入札で一番いい値を付けた商人に売ることを始め、備中では火薬の製造を始めた。
一方幕府では、勘定奉行の小栗忠順がフランスから軍艦を買い、長州を討って薩摩も討ち、将軍・家茂を王とする一つの国にしたいと考えていた。
2年後の1867年に行われるパリ万博の招待状をフランスから受け取っており、幕府の財政が苦しい中、交易で利を得るため、世界に日本の優れた産物を見せつけるため参加の予定。そのためには兵庫の港も急いで開いておきたい。
横浜の開港では外国のいいようにされていたので、その失敗をふまえて幕府もコンパニーを持ちたいと考えていた。
同じ頃。ベルギーでは、薩摩の五代才助が既にベルギー国と薩摩のコンパニー契約を結んでいた。
これで薩摩の富国強兵がうまくいくと薩摩藩士・新納刑部に話していた。
そして再来年のパリ万博の参加を国父・島津久光に願い出て、薩摩の良い品をたくさん出し、薩摩が幕府の先を行こうと考えていたのだった。
伝蔵を連れて播磨に行った篤太夫は、領民の人たちに播磨の白木綿とお隣姫路の白木綿を見せ、同じような上質の白木綿なのに、姫路の方が高値で売られていると教える。
姫路では、出来た木綿をいったん城下に集めてまとめて晒しにしたものを、姫路特産の白木綿として売り出していた。そういった売り出し方で姫路の木綿ならいい品に違いないと受け止められ、高値で売られていてもありがたがられて売れていたのだ。
それに対して播磨の村では、出来た木綿をそれぞれが織ったり売ったりして商いをしているので、大坂の商人たちに買い叩かれていたのでは?と指摘する篤太夫。
悔しがる領民たちに、篤太夫は一橋家でみんなの木綿をまとめて買い入れようと思ってると言い、そして一橋家で声高らかに「播磨一橋領の白木綿」と大仕掛けで売っていくという。そうなれば姫路にも負けない評判となるというわけだ。
儲かると話に乗ってきた領民たちだったが、多呂作(土平ドンペイさん)という領民が、お役人が自分達に設けさせようとするはずがない、と言い出すと皆一様に疑い出し、信用してくれなかった。
イギリス公使・ハリー・パークス(イアン・ムーアさん)は、1858年に結んだ日米修好通商条約で約束した開港が7年経っても果たされていないことを問題視。
7日以内に、日本での正式な許可を示す天皇からの『勅許』を出するよう迫ってきた。勅許が取れなければ、幕府を無視して直接朝廷に迫るという。
兵庫の港は、ごまかしながらなんとか5年開港せずに引き延ばしていたが、限界が迫っていた。
外国奉行の栗本鋤雲(池内万作さん)は、将軍・家茂に「勅許などいるのでしょうか?」と踏み入ったことを言い出す。
長年に本を守ってきたのは幕府。朝廷も天皇も政治のことなど分かっていない。勅許などなしに兵庫の港を開こうという意見でまとまりかける。
そこへ一橋慶喜が入ってきて「公儀の専断の条約など不可に決まっておりまする。」と大反対。前提を無視すれば国の根源が崩れると一蹴した。
慶喜の朝廷寄りの意見に面目が潰される幕臣たちは、朝廷など無視すればよいと聞く耳を持たなかった。
孝明天皇から呼び出された慶喜は、勅許なしで兵庫の開港をするつもりなのか?と問われる。否定しない慶喜に、朝廷は「違勅」だと騒ぎ出す。
公卿の正親町三条実愛は、勅許を要らないと言った老中の阿部と松前の罷免を要求。何も言い返せない慶喜だった。
すると今度は、朝廷から阿部・松前の罷免を要求されたことに、幕府が一橋慶喜の陰謀だと言い出す。
慶喜を責める空気に、家茂が「これは全て私の責。」と一手に非難を受け止める。
栗本は家茂に征夷大将軍の職を辞めるよう家茂に進言。幕府なしで朝廷が何もできないとタカをくくっていたのだ。
家茂は、一橋慶喜なら出来るかもしれないと言うと、永井尚志が、慶喜はあくまで将軍・家茂を支えたいと思ってるのだと引き留める。
家茂は将軍職を一橋慶喜に譲り、江戸に戻ると宣言した。
家茂の意向を聞いた慶喜は、急ぎ家茂のもとに駆けつける。
攘夷を果たすことも勅許を得ることもできない自分を責めていた家茂に、慶喜は「勅許は私が命をかけて頂いてまいりまする。」と約束。将軍職辞職を思い留まるようお願いした。
「上様あってこそ、臣下は懸命に励むのです。」と言い、自分が将軍になったところで誰もついてこない。「将軍はあなた様でなければならぬのです。」と説得した。
慶喜は孝明天皇に拝謁し、条約の勅許をお願いした。勅許を出さなければ異国の者が御所に入ってきてしまうことになると言った。
しかし正親町三条実愛が口をはさんできて、家茂に責任をとって将軍を辞するよう迫ってきた。
慶喜は、実愛に将軍職を辞するのは誰の意見か?薩摩の者と交流していることは知っていると言い「これほどの大事を誰かに唆されたとあっては、そのままでは済ませぬぞ。」と言う。
そして今度は孝明天皇に対して、責任を取って切腹以外ないと迫った。
冗談だと笑う公卿たちに「戯れではござらぬ。また某も不肖ながら多少の兵を持っております。腹を切ったのちに家臣どもが各々方にいかなることをしでかすかは、責めを負いかねる故、ご覚悟を。」と脅した。
孝明天皇は人払いを要求。慶喜と二人きりになり、慶喜を信じて勅許を出してくれることになった。
川路聖謨は7年越しに開港となったことを喜んでいた。
川路は、かつて東湖に頼まれて原市之進を長崎に連れて行き、平岡円四郎を慶喜のもとに推挙していた。亡くなった人達の分まで新しい徳川の夜明けが来るまで死ねないと、これからの世を楽しみにしていた。
薩摩の大久保一蔵は、越前の松平春嶽のもとを訪れていた。
大久保は、幕府がフランスと組んで長州を潰したのちは薩摩を潰そうとしていると読み、老中が大名を潰して徳川が直接治めると言ってることに危機感を募らせていた。
春嶽は、将軍が日本全体の主となって、全国の力を集中させるという考えは、もともと橋本左内(小池徹平さん)の考えだったと話し出す。
左内は、慶喜を将軍にして、その下を親藩・譜代・外様の区別なく優秀な人間が支えると考えていた。
事務宰相には水戸の斉昭、越前の松平慶永、島津斉彬の三人。外国宰相には佐賀の鍋島閑叟が入っていた。
大久保は、今の幕府に左内の夢を叶える者はいない。薩摩の島津久光は、幕府を見限るべきだと考えていると伝え、春嶽に上京をして、才知ある者で異国に堂々と立ち向かえる日本を作ろうと誘った。
京の一橋家では、篤太夫が、猪飼に慶喜に提言しようと思ってる内容を話していた。
「子曰く、富と貴きとはこれ人の欲する所なり。その道を以てこれを得ざれば処らざるなり。仁をもって得た利でなくては意味をなさねえ。」
上の者だけが儲けていては、不平を持つ者が出ていつかどん詰まる。
話していたところを慶喜に聞かれ、篤太夫は慶喜に呼び出され二人で話すことに。
篤太夫はまず、年貢米と火薬の材料の硝石は問題なく進んでいるが、木綿の商いがうまくいっていない。話した。
そして売り買いの流れをよくするために一橋の銀札を作りたいと提言。
銭は重たくて持ち歩くのに難儀する。紙ならば軽く気軽に物の売り買いが出来る。
しかしこの札の値打ちは低く、額面通りの値打ちはなく束で持って行っても豆腐一つも買えない。銀札に信用がないのだ。
一橋が責任をもって銀札を作り、これで木綿の売り買いをして真心をもってきちんと値打ち通りの銀を支払えば、商人も百姓も信用し、大いに役立てるようになる。
篤太夫の話を聞いた慶喜は「お主が信用できる札を作り、民をも喜ばせることが出来るというならば、是非見てみたいものだ。」と言って許してくれた。
人々に信用してもらうための銀札づくり。
篤太夫は絵師に頼んで模様のデザインを細かく発注。デザインを彫ってくれた板を、3分割にするアイデアも出した。
3分割した板を揃えなければ刷れないという仕組みを作り、銀札を刷れる場所を限定した。
半年かけて銀札引換所を設立。
百姓の人たちが銀札を持ってくると、額面通りの銀が支払われた。
儲けることが出来た百姓の人たちは、銀札を信用してくれるようになった。
篤太夫は一橋家の勘定組頭に抜擢された。
慶喜は「瞬く間に一橋の懐が安定したと、京のみならず江戸の家中も驚き喜んでいる。」と褒めた。
篤太夫は、領民たちに信用され、紙は使いやすいと喜んでくれていると報告した。
そして「物産所も硝石の製造所もまだまだこれから。これからが腕の見せ所でございます。」と今の成功だけでなくこれからを語った。
慶喜は「よくやった。」と褒めたたえてくれた。
成一郎は、軍制所調役組頭に昇進。篤太夫と住むところが別になった。
成一郎は、村にいた時と変わらない勘定の仕事をする篤太夫に、せっかく武士になったのにと残念がる。
しかし篤太夫は自分に合ってると笑顔。さらに慶喜に褒められて一橋の役に立ってると喜んでいた。
幕府の勘定奉行・小栗にも負けない一橋の勘定方になると意気込んでいた。
成一郎は、長州征伐に薩摩や阿波、尾張が兵を出さないと言ってきて、慶喜が苦しんでいる現状を話す。
一橋が兵を出すかどうかわからないが、命をかけて慶喜のために戦うと言う。
そして、長七郎が坂下門外の変に行くのを止めて志士として名を残す機会を奪ったことを悔いていた。
「しかし死んじまったら何にもならねえ。」と真っ向から対立する篤太夫。
成一郎は「それは己が決めることだ。俺はいつか長七郎と揃って一橋家の雄になる。おめえは懐でも守っておれ。」と言って部屋を出て行った。
篤太夫は「道は違えるが、互いに身しめて一橋を強くすんべえ。」と去っていく成一郎の背中につぶやいたのだった。
その頃。薩摩は長州と薩長同盟を締結。
帰国した五代才助は、大久保から頼まれて、長州のためにグラバーからイギリスの銃を大量には買う話をつけた。
大久保は、京で政争に負けくすぶっていた岩倉具視(山内圭哉さん)に会いに行こうと考えていた。
幕府は二度目の長州征討を始めたが、長州は従来の大将からの指示で動くのではなく、個々で銃を持ち、大勢で一気に攻め込んでいた。
幕府は苦戦を強いられ、長州の兵が持っているミニエー銃の出所が薩摩ではないか?と勘づく。
家茂は薩摩と長州が手を組んだと聞かされ倒れてしまったのだった。
慶応2年7月。
篤太夫の運命が大きく変わろうとしていた。
…というお話でした。
誰からも警戒される慶喜
幕府を守るために生きると決断して動いていた慶喜。
勅許なしに動こうとする幕府の人たちと、どうしても開港したくない天皇の間に立って大変な思いをしていました。
幕府の人たちからは、老中二人の罷免を要求してくる朝廷の話を慶喜の陰謀だと疑われたり。
朝廷からは外国の人が御所に来ようとするのを止められない責任を負わさそうになって、家茂に将軍職を辞職させることまで要求されて。
なんでこんなに嫌われるの?とかわいそうになりました。
慶喜さんはどうしてこんなに人気がないのか。
家茂が慶喜に将軍職を譲ろうとした時に、自分が将軍になれば誰もついてこない。っていうのは謙遜でもなんでもなく、その通りだと思いました。
家茂が将軍でいるからこそ、家臣の話をよく聞いてくれるし人柄もいいから皆に愛されて支持される。
一度将軍になり損ねて、出身の藩で幕府の面目を潰す乱を起こされた慶喜は、いつか幕府を潰してくるかもしれないと警戒されたんでしょう。
いくら幕府を守ると言っても、信じてくれない。
次から次に来る難題によく逃げずに立ち向かってるなと思いました。
一番ツライのは家茂
でもそれを上回って大変なのが家茂です。
10代前半の子供の時に将軍になって、大人たちに囲まれて政治をしてきて、難しい問題が次々とやってくる。
そりゃあ、体調も崩しますよ。
一回逃げようとしたけど、それも許されない。
若者がどんどん追い込まれる姿は見てて辛かったです。
どんなに追い込まれて慶喜を責める声があっても「これは全て私の責。」と慶喜をかばってる姿は、何でここまでして将軍をやらないといけないのか。と見ててしんどくなりました。
橋本左内の案が通ってたらよかったのに
薩摩と長州はどんどん追い込んでくるし、幕府の終わりが近づいてきました。
倒す側の長州や薩摩側からしか見てこなかった幕末ドラマ。これから逆転していくのが面白い時期に入ってくるんですけど、幕府側から見たらこんなにもしんどい。
今回出てきた橋本左内の案が通っていれば、徳川がまだトップとして入れたかもしれないのに。
もう慶喜も薩摩側も自分たちが出し抜かれたくないばっかりで、もう協力しようとかお互いが存続する事も出来ないですね。
『天下の大愚物』からもう、こじれまくってますし。
家定が慶喜を嫌ってなければ、慶喜が自分達を推す声に従っていれば。他の人たちが慶喜を受け入れて将軍にしてくれていれば…。
もうちょっと江戸時代が続いてたのかもしれないですね。
国を富ませて外国に対抗していこうとするのは、幕府も薩摩もみんな考えは同じなのに。
方向は一致してるのに、みんな自分が上に立とうとするからうまくいかない。
もう最悪だな~~と思いました。
まぁ、一つの家が日本全国を治めるってのは無理があって、いつかは壊れるものだったか…。
これは仕方ない流れだったんでしょう!!
今回は、家茂と慶喜、どっちもしんどい回でした。
篤太夫が本領発揮!
徳川家が窮地に追い込まれる中、一橋家の懐を任された篤太夫は百姓の時に培った経験から、一橋領の物産を売るアイデアを次々と実行してました。
武士だけの集団じゃ出てこなかったアイデアで、上の者だけが儲けるやり方ではどん詰まるというのは、確かにそうですよね。
篤太夫はそこが一番不満で、幕府を倒そうとしてたんだし。
一橋家に入って、百姓の時にこうやればうまくいくのに…思ってたことがどんどん実現できて、楽しかったんではないでしょうか?
ツライ毎日を送っていた慶喜が、ちゃんと篤太夫の話を聞いてくれて、背中も押してくれる。
一橋家としては大変な時期だったんでしょうけど、篤太夫と慶喜の関係が一番うまくいってる時期だなと思いました。
こんな楽しかったのに、次回、家茂が倒れて慶喜が徳川を継ぐかも!?という事態になって一変してしまいます。
せっかくノリに乗ってきて、成一郎と仲違いまでしてまで自分の道を進もうとしてたのに。
苦しい時期をどう乗り切るのか?
早く先が見たいです。
以上、『青天を衝け』第19回の感想でした。
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